はっきり言って異様としか言えない出で立ちの霊だった。
「その先輩が言ってたのよね…大きくなってるって」
「あーそうそう、二週間前はまだ2mくらいだったって言ってた」
「なるほど」と鎖は少し考え込むような仕草をした。
右手の鎖がカチャカチャと振動している。
鎖がなにかに興味を示した時や気分が高揚した時にはよくこうして振動するらしい。
鎖はこれについて「魂に共鳴している」と言い表していた、意味はよく分からない。
「霊体の体積なんてあまり大きな因子には思えないかもしれないわ、でも霊というのは実体を持っていない、だからこそ、そこに物理的要素である体積の膨張という過程が発生するのは、死後の世界にとって、とても大きな意味を持っているのよ」
鎖も少しテンションが上がっているのかいつもより饒舌に推測を語っている。
俺は鎖のこういう所を見たくていつもオカルト収集に奔走しているわけだ。
この瞬間を俺の中では「カチッ」と呼んでいる。
鎖のスイッチが入った瞬間の事だ。
「なにかあるわね、その霊」
鎖はそう言うと席を立ち上がりあからさまに帰宅の準備を始めた。
「貴方は貴方なりに職場の人たちに情報を聞き込んでおきなさい」
鎖は机の横にかけてあったスクールカバンを手にして席を後にする。
「えっ、ちょちょちょっと…どうするんすか鎖さん」
「早退するわ、先生には私がペストとエボラとスペイン風邪を併発したと伝えておいてちょうだい」
そう言うと鎖は足速に教室を出て行ってしまった。
そんなん伝えたら学級閉鎖になるわと心の中でツッコミながら先生には鎖はつわりが酷いので帰ったと伝えた。
























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?