相変わらずおばやん2人が「なによ〜なんなのよ〜何が見えるのよ〜教えなさいよ〜」と続けていたが休憩時間が終わってしまった為その日の休憩はそこで打ち切られた。
ごめんなさい石野さん、俺バリバリ首突っ込もうとしてますと心の中で謝りながら俺はその客室を後にした。
後日、俺は学校で昼休みに少し興奮気味にその出来事をとある女に語っていた。
「ふーん……興味深いわね」
机で頬杖を付きながら俺の話を聞いている。
その頬杖をつく腕にはいつも通り鎖が巻かれている。
彼女は「鎖」もちろんあだ名、もとい通り名である。
日常生活の中で常に腕に細い鎖を巻いている事から付けられた単純明快なあだ名であり、それにはもちろん奇人変人の意味合いが埋め込まれている。
高校1年の一学期、悪霊に襲われ死にかけていた所をこの女に救われて以来、俺はこの女の言いなりになってしまっているのだ。
なんでも恩を負債として学校生活をその返済に当てなさいと言う。
まぁ分かりやすく言えば命を救ってやった恩があるんだからお前はこの先ずっと私のパシリで決定って事らしいのだ。
時には購買部の新作パフェを買ってこいだの、自販機でいちごミルクを買ってこいだの在り来りなパシリを任される事もあれば、時にはこの鏡をどこどこの祠に置いてこいだの、道行く人に片っ端から最近怖い体験はしなかったか?というアンケートを取ってこいだのと。
彼女の注文は多岐にわたる。
ただ一環しているのは、彼女はオカルトと甘いものが好きという事だった。
「もう一度詳しくその霊の見た目について話しなさい」
「あーうん……えっと……」
俺は、その光景を鮮明に思い出す。
俺が働いているあのビジネスホテルは2つの15階建てのビルから成っている。
俺が普段働いているのが1号棟であり、あの時休憩していたのはその1号棟の13階だったわけだ。
そして1号棟と2号棟は並行に並んでいるため1号棟の南側の窓からは2号棟が見えるのだ。
俺が発見したのはその2号棟の壁に張り付く巨大な太った女の霊だった。
あの後何度も見て確認したが恐らくその霊は体長6mはある。
それほどの巨大な女の霊が壁に張り付いていたのだ。
女だと勝手に思ったのは黒い長髪だったからだ。
顔は壁側に張り付いていて後頭部を外側に向けていた。
胴体は服を着ておらず裸で、ぶくぶくと太っている。
























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?