鎖は窓の外に視線を向け顎をしゃくる。
そういえば最近普通に仕事が忙しくて例の張り付く女の霊を観察していなかったなと思った。
でもこれを言ったら今度は心がへし折れるまで理詰めしてきそうなので、俺は平然とした態度で完食したひつまぶしの椀を閉じ窓際へ向かった。
「あれ?」
件の霊は今も尚2号棟の壁に張り付いていた。
張り付いていたのだが。
「なんか、またデカくなってね?」
前見た時は確か6mくらいだったが、今見るとその霊は全長8mほどにまで成長していた。
「貴方…仕事しながら毎日確認してたんじゃないの?」
「え?……あーいや、見てたよ、うん…やっぱ成長してるね……うん」
鎖はなにか見透かしたような見下すような顔をしたが、特に何も言ってはこなかった。
「はぁ……もういいわ…あなたは仕事に戻りなさい」
双眼鏡を覗きながら手でシッシッと俺を振り払うようなジェスチャーをしてくる。
こいつ腹立つ、しかしひつまぶしを奢ってもらったので何も言えない。
俺は清掃道具を手にすると部屋の清掃を開始した。
床に散らばったスイーツゴミを片付ける。
これはかなりの量だぞ。
大きめのビニール袋を片手に田植えのような姿勢になりながらゴミを拾い上げる。
まったく、一体いつから溜め込んでるゴミなのだろうか。
いや待てよ。
確か石野さんが昨日清掃に入ったはずだ。
信頼を置いてる先輩の事だ、やるからにはきっちり仕事をしたに違いない。

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?