数学という学問と誘眠作用の因果関係についていつか論文でも出そうかと思案し始める所だった。
「おや、過ぎてるのにチャイムが鳴らないね」
数学教諭の鈴木先生はテカる頭部をこちらにみせつけながら教室の壁掛け時計を見上げ、首を傾げている。
「先生、この教室の時計5分ズレてます」
クラスの割と陽キャな部類に入る女子が手を挙げずに発言する。
まったく、声の通りがいい女だ。
その後5分ほど過ぎてからやっとチャイムが鳴り瞬く間に教室は冷凍食品特有の弁当の匂いで充満した。
俺の大好きなチキチキボーンのスパイシーな匂いもする、あれは美味い。
いつもであれば仲のいいメンツで昼食を摂るのだが、その日の昼休み、俺は1人の少女を探していた。
本来なら関わるべくもない変人であり、一緒に居るところを同級生に見られよう物ならその奇人変人の仲間に勝手に加えられてしまうであろう要警戒人物。
探し始めて20分が経ったが彼女の姿は見つけられなかった。
そもそも学校ではまったく接点が無かったのでどこのクラスかって事くらいしか知らないし、かと言ってそのクラスの人に鎖はどこに行った、なんて聞けるわけもないのだった。
早退でもしてるんじゃないだろうなとため息をつきながら窓から中庭を見下ろす。
いた。
中庭のベンチに、はたして彼女はいた。
黒髪、ぼっち飯、スカートの横には本、手になにか巻いてる、間違いない。
俺は階段を駆け下りると外靴に履き替えて中庭へ出た、もちろん今食べなければ昼食のタイミングを見失ってしまうので片手には焼きそばパンを携えている。
「隣、いいか?」
俺に視線を向けると明らかに嫌そうな顔をする。
わざわざ聞かないで勝手に隣に座る作戦のほうが有効だった気がしてきた。
「目の前に素敵な席があるわよ」























えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?