しかし、チェーンを外す寸前で手が止まった。
玄関の前にいるのは本当に母さんか?
昔読んだ同人誌では背の高い田舎に出る女の妖怪が身近な人間の声に化けて扉を開けさせようとしていたじゃないか。
俺は用心のためドアスコープを覗き込んだ。
どっどっどっっ。
心臓が高鳴る。
頼む、母さんであってくれ。
徐々にピントが会う。
玄関の前には人が立っていた。
白い服、後ろに縛った髪、見慣れた顔。
母さんだった。
ほっとした。
今度こそ本当にドアチェーンを外し玄関を開けた。
玄関はキィーっという音を立てながらゆっくりと開かれる。
玄関の前の人影が家の中の電気に照らされる。
「どうしたの…あんた汗すごいよ」
「あ、あー………はは」
「ほら、ナースポーチ取ってきて…あれないとお母さんお仕事出来ないから」
「あー、そうだったね……ごめんごめん」
俺はリビングへ向かった。
テーブルの上には確かにナースポーチが置かれていた。
俺はそれを手に取って玄関に戻る。
「母さん…これで…………え……」
この話は怖かったですか?
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えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?