父の人生
投稿者:太山みせる (37)
そんな事を聞いたら不安になりました。
もし私が父に似ていたら、嫌われていたのではないかと!
それを言うと、
「そんなことはない。優美がどんな姿であろうと、お前はオレと雅の子供だから可愛いんだ」
と言って、私を抱きしめて安心させてくれました。
私は父の顔が好きです。
不細工かもしれませんが、私を見る目はいつも優しく慈愛に満ち、とても落ち着くからです。
父は私の誇りです。
いつでも守ってくれます。
※
私は勉強もスポーツも、一生懸命やりました。
たくさんの友達を作り、困ったことがあれば父の真似をしたコミュニケーション能力で、問題解決を図りました。
自分でいいますが、私は人気者です。
頑張ってそうなった理由は、父を喜ばせたかったからです。
私が頑張れば頑張るほど、父の不遇だった子供時代が塗り替えられるような気がしたのです。
大学受験も頑張って、東京のレベルの高いところに合格しました。
父は田舎の人だからか、都会に憧れがあるようで、娘が東京に進学する!と殊の外、喜んでいました。
多くの人たちに見送られて、上京したのは良い思い出です。
※
大学が始まってすぐ、私は一目惚れというものをしました。
同い年の、背が高いハンサムな男子です。
モテそうですが、大学が終わるとすぐに帰ってしまい、コンパにも来ません。
若いのに、なんだか疲れています。
気になって声を掛けました。
コミュニケーション能力が高い私です、誰とでも仲良くなれます。
その男子も私に心を開いてくれました。
彼は志郎という名前で、両親は子供の頃に死別、お祖母さんと2人で暮らしていました。
両親が残してくれたお金で大学は大丈夫と思っていたら、お祖母さんが長期入院することになり、毎日バイトをしているそうです。
それで疲れていたんですね。
早速、友達になりました。
それから毎日、栄養満点のお弁当を作ったり、励ましたりしました。
仲良くしているうちに告白されて、私の恋は実ったのです。
それからは恋人として、家の掃除をしてあげたり、お祖母さんのお見舞いにも行きました。
志郎からお弁当や掃除の件を聞いたお祖母さんは、泣きながらお礼を言ってくれました。
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