奇々怪々 お知らせ

不思議体験

kwaidanさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

悪夢
短編 2024/11/18 07:50 149view

冷たい目が私を見つめ、またあの錆びた鎌を振り上げる。

目を覚ましたはずの現実が、悪夢に引き戻される感覚。

終わりのないループの中で、夢と現実の境界は完全に崩壊した。

ただ確かなのは、アイツの狂気の笑みが私の視界から決して消えないことだった。

次に目を覚ましたとき、私は病院のベッドに横たわっていた。

モニターの規則的な電子音が響く中、青ざめた顔の両親が私を見つめている。

母は泣いており、父は口を開かない。

ただその表情が全てを物語っていた。

全身に違和感があり、視線を自分の体に向けると、私は息を呑んだ。

夢の中で失ったはずの四肢が、現実でも失われていた。

「…なんで、アイツは…?」

震える声でそう問う私の意識は、再びあの笑い声に引きずり込まれた。

現実でも夢でもないどこか曖昧な空間で、アイツは何度でも私の体を奪い、狂気の笑みを浮かべながら鎌を振り上げる。

そのたびに私は叫ぶが、その声は闇に吸い込まれ、何も残らなかった。

私は眠るのが怖かった。

だが、目を開けていてもアイツはそこにいた。

瞼を閉じても開けても、あの笑みと錆びた刃が私を支配している。

恐怖が徐々に心を侵し、私の現実を上塗りしていく。

「目を覚ませ…」

そう自分に言い聞かせる。

だが、見えるのは白い天井と、心に焼きついたアイツの姿。

錆びた鎌を振り上げ、あの狂気の笑みを浮かべている。

夢は終わらない。

アイツは、私の現実そのものになった。

同僚が語った話は、あの悪夢と重なりすぎていた。

彼もまた夢と現実の狭間に囚われているのか。

それとも、アイツは本当に夢の産物ではなく、もっと別の存在なのだろうか。

2/3
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。