冷たい目が私を見つめ、またあの錆びた鎌を振り上げる。
目を覚ましたはずの現実が、悪夢に引き戻される感覚。
終わりのないループの中で、夢と現実の境界は完全に崩壊した。
ただ確かなのは、アイツの狂気の笑みが私の視界から決して消えないことだった。
次に目を覚ましたとき、私は病院のベッドに横たわっていた。
モニターの規則的な電子音が響く中、青ざめた顔の両親が私を見つめている。
母は泣いており、父は口を開かない。
ただその表情が全てを物語っていた。
全身に違和感があり、視線を自分の体に向けると、私は息を呑んだ。
夢の中で失ったはずの四肢が、現実でも失われていた。
「…なんで、アイツは…?」
震える声でそう問う私の意識は、再びあの笑い声に引きずり込まれた。
現実でも夢でもないどこか曖昧な空間で、アイツは何度でも私の体を奪い、狂気の笑みを浮かべながら鎌を振り上げる。
そのたびに私は叫ぶが、その声は闇に吸い込まれ、何も残らなかった。
私は眠るのが怖かった。
だが、目を開けていてもアイツはそこにいた。
瞼を閉じても開けても、あの笑みと錆びた刃が私を支配している。
恐怖が徐々に心を侵し、私の現実を上塗りしていく。
「目を覚ませ…」
そう自分に言い聞かせる。
だが、見えるのは白い天井と、心に焼きついたアイツの姿。
錆びた鎌を振り上げ、あの狂気の笑みを浮かべている。
夢は終わらない。
アイツは、私の現実そのものになった。
同僚が語った話は、あの悪夢と重なりすぎていた。
彼もまた夢と現実の狭間に囚われているのか。
それとも、アイツは本当に夢の産物ではなく、もっと別の存在なのだろうか。
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