深夜のコンビニ老人
投稿者:セイスケくん (20)
長編
2024/11/16
09:04
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「山田さん、どこにいるんですか?一緒に帰りましょう!」
「もう戻れないんだ。でも、君が俺を救ってくれた。心から感謝している。これからは君が、人々の心に光を灯してくれ」
そう言って、彼の姿は徐々に薄れていき、闇の中へと消えていった。
翌日、警察から連絡があった。山田さんの遺体が河川敷で発見されたという。死因は不明だったが、穏やかな表情をしていたと聞かされた。彼の手には、老人が購入していたのと同じぬいぐるみが握られていた。
僕は全てを悟った。山田さんも老人も、失った家族への深い悲しみに囚われ、闇に引きずり込まれてしまったのだ。しかし、最後に彼らは解放されたのかもしれない。
店の片隅に置かれたぬいぐるみが、静かにこちらを見つめている。まるで何かを伝えようとしているかのように。その目を見つめると、胸の奥に温かいものが広がった。
「あなたたちの想いは、僕が受け継ぎます。どうか安らかに……」
その後、店内の奇妙な現象はぴたりと止んだ。僕は大学の勉強に専念しながらも、彼らのことを心に留め続けた。心理学を学ぶ者として、人の心の深淵と向き合う覚悟ができた気がする。
夜空を見上げると、ひときわ輝く星が目に入る。それは、彼らが見守ってくれている証なのかもしれない。
「山田さん、見ていますか?僕はあなたの意志を継いで、人々の心を照らす道を歩んでいきます」
そう心に誓い、僕は新たな一歩を踏み出した。
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