【突撃！噂の心霊スポット】

「まあ、お客様はユーチューバーというご立派なお仕事をされているそうで、ほんと今は何でもＳＮＳの時代ですよね。
かくいう私もね、もう随分前からこれからはＳＮＳの時代ですよと主人にも口を酸っぱくして言ってたんですけどね。あの人ときたら頭が固くてなかなか腰が重くてね。そしたらほら、この部屋で５年前あの事件が起こったでしょ。それからしばらくしてから何名かのお客様から幽霊が出ると苦情が出まして、まあ亡くなった方にはお気の毒でしたけどね、こっそり当館のホームページの片隅とかにも掲載させてもらいましたらね、幸か不幸かネットで話題になってそのおかげで当館はなんとか今も生き永らえさせていただいております」

それから女将は二人に夕食の時間を聞くと、また礼をしてから部屋を出ていった。

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それから村井と小暮は浴衣に着替えると庭の離れにある露天風呂にゆっくり浸かる。

そして部屋に戻り、座卓に準備されていた夕食に舌包みをうっていた。

「なあ、主の言ってたこと、どう思う？」

村井が柔らかそうな焼き肉を口に運びながら、正面の小暮に尋ねる。

「ああ、五年前、女の人がここで首吊りした話か？

う～ん、まあ俺もやるんだったら都会のど真ん中のホテルじゃなくて、こんなひなびた旅館の一室でやるんじゃないかな」

そう言って小暮はコップに入ったビールを飲み干した。

「そんなもんかな、、、
まあ、人にはいろんな事情とかあるからな」
と、村井がコップのビールに手を伸ばそうとした時だ。

突然頭上の電気がチカチカと消灯を繰り返す。

すると室奥に掛けられた掛け軸がストンと落ちた。

二人は同時に顔を見合せると、ゴクリと唾を飲み込む。

村井が怯えた様子で口を開く。