それからだった。
私が日常生活の中のちょっとした合間合間に奇妙な人の姿を見かけるようになったのは。
例えば会社の帰り際、
電源を落としたデスクパソコンの暗い画面の中や、
商店街の歩道に沿って並ぶショーウィンドウの一つを覗き込む私の肩越し。
そしてまた帰りの地下鉄の椅子に座ってから正面に見える暗い車窓の中とか。
それらが果たして梶原なのかどうかは分からない。
ただそれはいつも同じ男で、何をするわけでもなく正面を向いてじっと私を見ているのだ。
そしてそんな時の後はなぜだか私は強烈な閉塞感や空虚感に苛まれ、いっそのことこの世から消えて無くなりたくなるようなそんな理不尽な衝動に陥ることがある。
【了】
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さすが、という内容でした。
面白かったです。
とく
お褒めの言葉、ありがとうございます
─ねこじろう
読みごたえ、ありました。
ありがとうございます
─ねこじろう
1ページ目の「そのビジネスホテルは駅のすぐそばだったから…」はカプセルホテルの間違いかと思います。
この話では駅前のビジネスホテルの一部フロアをカプセルとし、他のフロアは大浴場及びシングルダブルの一般のビジネスホテルフロアという設定にしたのですが。
━ねこじろう
「微唾みの泉」とは何でしょうか
知識不足ですいません..
私がよく使う、眠りに落ちるときに用いる表現です
ちょっと象徴的すぎましたか?━ねこじろう