これって新手の勘違い人間?
投稿者:haruton (25)
従姉妹が固まって動けないでいると、ちょうどバスが来た。従姉妹は無意識にバスのなかに駆け込んだんだって。そして定期券を運転手に見せてバスの後ろの座席に逃げた。
さすがに平井母もそこまでは追いかけなかったみたいで、従姉妹は一番後ろの席、平井母が立っている反対側の席に座って息を整えた。どうしても気になってチラリと向こうの窓を見ると、平井母は中を覗くように見ていた。そして笑顔で従姉妹に手を振っていたんだって。
バスが走り出す間もドキドキが止まらなかったんだって。
その日はずっとあの笑顔が頭から離れられなかったらしい。
ここで従姉妹ははっきり言っていたが、平井吉彦とは付き合ったことなんかない。向こうが難癖みたいなことを言ってきたことはあるけれど全部無視していたって。中学も一緒だったけれど、中学では一度も同じクラスになったことがなかったから話す機会なんてなかった。だからあり得ないと。
従姉妹は困った。利用するバス停をあの人に知られてしまったと。
朝はいつも使っていたバス停まで歩いてそこからバス通勤だったけど、今度は最寄り駅まで行って電車通勤にすることにしたらしい。幸い住んでいる場所までは知られてはいなかったので、あの日以来、平井母と会うことはなかったんだって。従姉妹はもうあの変な人に会いたくないと愚痴をこぼしていたよ。
聞いているだけだとあんまり怖くないかもしれないね。でも小学校のときの同級生、しかもたった二年間クラスが一緒だっただけの同級生の母に馴れ馴れしくされるのってストレス半端ないと思うんだ。
これって勘助の話なのかな?
勘助とは勘違い野郎のことを指すんだけど、私が思うに平井が従姉妹と付き合っているんだよねーと平井の母に嘘を吐いていた気がする。じゃないとあんなに馴れ馴れしく従姉妹に話しかけないよね?
それとも平井母が物凄く従姉妹のことを気に入っちゃって、勝手に妄想して息子の元カノ設定にしていたのかな。
それはそれで結構怖いなあ。
変な人って考えが怖いな。
平井が勘助なのでも母親が妄想したのでもなく、嘘までついて他人のふりした従姉妹にムカついた母親がわざと怖がるような話をしたんだと思う。