名前は?何歳なの?どこに住んでるの?、、、等々。
そして最後に何でこんな時間に路地を歩いていたのか?と尋ねてきた。
満男はさっき晩御飯の時に母親と喧嘩して家を飛び出したことを話す。
彼の話をじっと聞いていた女は
「酷いお母さんだねえ。それはさぞ悔しかっただろうねえ」と言いながらまたミジンコの目をさらに細めていた。
その後満男が女の家の赤茶けた金属の門を開き路地に出た時は、辺りはもう既に少し白んで来ていた。
路地を自宅に向かって歩き出した彼の背後からまた女の声がする。
「またもしそんなことがあったら、いつでもここにいらっしゃい。うちにもあなたと同じくらいの息子もいるから」
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満男が早朝にこっそり自宅に戻った時、彼の母はリビングの食卓テーブルに座ったまま彼の帰りを待っていた。
体裁悪そうに謝る満男をよそに母は無言でさっさと着替え、仕事に出て行く。
彼は眠い目を擦りながら着替えると、ランドセルをしょって玄関を出た。
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その日学校を終え満夫が校門を出た時太陽はもう西の彼方へと移動していて、辺りは朱に染まりつつあった。
彼は今朝朝御飯を食べておらず給食も苦手なメニューで半分くらい残したということもあり、さっきから空腹を感じながら歩き続けていた。
ただ急いで家に帰ったとしても母が仕事から帰ってくるのはだいたいいつも7時過ぎだから、それまで彼は我慢しないといけない。
満男の家は母子家庭なのだ。
営業の仕事をしている母の心労は半端ないようで、たまに彼に対して理不尽に切れることがあり、よく親子喧嘩をする。
実は昨晩もそれがきっかけで喧嘩になり彼は家を飛び出したのだ。
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