猫と殺鼠剤
投稿者:レイレサ (64)
「猫はそれが毒物かどうかなんて分からなかったんじゃろう」
「青山さん家の奥さんも悪気があったわけじゃない」
「だから、青山さん家の奥さんを怨んじゃいけないよ」
近所のおじさんがひと通り説明してくれたことで、ようやく状況を把握できた。
もう、元気なミケちゃんの姿は見れないんだ。
だからやっくんは泣いているんだ。
母も難しい顔をしているんだ。
正直なところ、私は青山さん家の奥さんがどういう人だったのかはあまり覚えていない。
同じ田舎村に住んでいると言えど、それほど親しい間柄でもない。
その家の住人がどういう人達なのかもよく分かっていなかった。
そのくらい、普段からの関わりがあまりない人達だった。
でも、今は違う。
飼い猫のミケちゃんが死んでしまった。
いくら悪気がなかったと言えど、あんまりである。
問題の青山さん家の奥さんはというと、猫の死骸には触りたくなかったのか、本人ではなくて旦那さんが私の家まで運んできてくれたようだった。
旦那さんは「ごめんな、ごめんな、ミケちゃんに悪いことした」と母にひたすら謝罪したようだが、当の本人である奥さんの方は一度たりとも家に謝りに来ることはなかった。
彼女が蒔いた殺鼠剤のせいで人気者の猫が死んでしまったことが負い目だったのかもしれない、そう母は言っていたが、実は奥さんには裏の顔があるのではないか?という噂話がこっそりと囁かれていたらしい。
「ねぇねぇ、ミケちゃんが殺鼠剤食べて死んじゃった話には裏があるって知ってる?」
「青山さん家の奥さんでしょ?」
「あの人大の猫嫌いなんだってね」
「みんながミケちゃんミケちゃんってちやほやしているのをよく思ってなかったみたいよ」
「殺鼠剤撒いたのも鼠退治が理由って本当かしらね?」
「どうだろうなぁ、自宅の小屋に撒いたのになんでミケちゃんがそれを食べたんだろうねぇ」
「まさかと思うけど、ミケちゃんに餌だと思わせて食べさせたんじゃ?」
「まさか、それって動物虐待だよ!」
「実はこの前ね、ミケちゃんのことを溺愛していたあの子(私のこと)も憎たらしいって言ってたんだよね」
「猫が嫌いで飼い主も嫌ってるのか、猫嫌いにもほどがあるよね」
呪いかどうかより、猫かわいそう。
動物虐待する奴はそのうち人間にも手を出しますからね
特に猫を虐待する奴は子供を狙う凶悪犯予備軍
ミケちゃん殺しの犯人が報いを受けて苦しんで死んだのが僅かな救い