いちにち、いちみり
投稿者:太山みせる (35)
色坂はその後、美貌を活かしてホストになり、そこで1人の女性とトラブルを起こす
どちらも悪かったのだが、女性の夫が反社の親分だったことから大騒動になり、色坂の親が別の反社のボスに仲裁をお願いする羽目になった
そこで終われば良かったが、今度は色坂が反社のボスに陶酔し、仕事を手伝っているうちに犯罪行為を重ねるようになってしまった
気がついた時には被害者を何人も自殺に追い込み、警察からも指名手配されていた
色坂は卑怯にも逃げたが、彼の両親は被害者やその遺族に賠償金を払い続け、とうとう破産し心中した
逃げた色坂は、親友である吉見にだけはこっそり連絡を取り続けた
直接会ったりはしなかったが、数年前に仕事を辞めた時、色坂に呼ばれて会いに行き、そのままこの地に住むことにしたという
「そうか、この地に色坂はいるのか。ところで何故、あんな奴とまたつるむことにしたんだ?」
当然の疑問だろう
「色坂のご両親には借りがある。俺の母親は高校時代に病気で死んだが、ずっと世話をしてくれてたんだ。息子に甘かったり金で解決したりするようなところもあったが、基本的には良い人達だった。逃げ回っている息子に心を痛めていたよ。だから俺は色坂に自首を勧めるために、ここに来たんだ」
だが、と吉見は言った
色坂がついていた反社のボスも、色坂を庇うためだけに匿っているのではなかった
彼が知っている秘密が漏れないように、軟禁も兼ねていたのだ
のこのこやってきた吉見にも秘密を守らせ、現在2人は同じマンションの一室に住んでいるという
ただ吉見には自由が与えられ、外出も労働も好きにできるらしい
それでも時々、ボスの配下の者たちがやって来て、裏切らないかチェックはされているそうだ
「お前、それで良いのか?」
野村は何だか腹が立った
「辛くはないよ。チェックに来る奴らとも仲良くしている。監視は名目だけで遊びに来てる。ボスも色坂の存在さえ漏らさなければ、奴の面倒はみなければならないけど、マンションを出ても良いと言ってくれている」
「そうか……。ってお前、オレに色坂の存在をバラしてるぞ!ボスにバレたらオレも危ない目に遭うかもしれないじゃないか。迷惑は掛けないと言っていただろう!」
そんな野村の物言いに、吉見はフフンと笑った
「迷惑なんて掛けてないだろう。お前は警官なんだから!」
「知っていたのか!」
「とっくに調査済みだよ」
そうか、と野村は破顔した
そもそも吉見について行ったのは、色坂の居場所を聞き出す為だった
だが簡単に教えてくれた
詳しい住所までは分からなくても、この辺を調べればすぐに見つかるだろう
「色坂を逮捕して欲しいんだな」
「お前に手柄を作ってやれれば、少しは中学時代の罪滅ぼしになる。色坂にも罪を償わせられる。一石二鳥なんだがな…」
そこまで言って、何故か吉見は溜息をついた
ひきこまれた。
引き込まれました。
10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!
面白かった。展開がハラハラする。
すごかった。
投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
吉見さんに幸あれ!