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呪い・祟り

太山みせるさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

いちにち、いちみり
長編 2024/04/09 22:42 19,450view
5

止められなくても、やり過ぎになる前には必ず抑えてくれた
そのお陰で大怪我をしたり、自殺をする程に追い詰められた者は、少なくとも中学校ではいない
優しくて誠実な吉見が、色坂の側にいるのが不思議だった
後々聞いた話によると2人は幼馴染で、吉見の母親が色坂家の家政婦をしているということだった
だから吉見は頭が上がらないのかな、と野村は思った

とにかくあの2年間は毎日が戦争だった
何を仕掛けてくるか分からない敵がいる、しかも狡猾で厄介だ
自分の友達にまで危害が及ぶと嫌なので、野村は自ら孤立した
なるべく誰とも話さなかった
昼食も1人で取った
周りも野村の巻き込みたくない気持ちを理解し、巻き込まれたくもなかったので、誰も彼には近寄らなくなった

そんな中、吉見だけは誰もいない時限定だが、話しかけてくれた

「ごめんな」
いつも謝っていた

色坂の仲間になれば、こういった目に遭わなくなるだろうが、野村は絶対に嫌だった
色坂のすべてが気に入らず、そんな奴の配下には絶対になりたくなかった

結果、修学旅行も1人で巡ることになり、これはかなり辛かった

吉見について行き、人気のない路地裏にある小さな店に入った
店員とは馴染みのようで、すぐに個室に通してくれた

「来てくれて有難うな、さっきはビックリしたよ。まさか野村にこんな所で会えるなんて思わなかった」
強面な吉見が、心底嬉しそうな顔をした
「……こっちも驚いたよ。25年ぶりだな」
「家族と楽しく過ごしてる時に声かけてごめんな。どうしても話したいことがあって……」

「うん」
吉見が話したいこと、それはきっと色坂のことだろう
色坂は現在、指名手配犯だ!

「色坂を覚えているか?」
「忘れる訳がないだろう。子供の頃から最低で、現在は犯罪者だ。卒業生で1番有名だろうな」
「……中学時代は悪かったな」
「お前のせいではないさ。お前は色々庇ってくれたし、感謝している」
野村の言葉に、吉見は黙って頭を下げた
そして中学を卒業してからの話をしてきた
それによると2人は別の高校に行ったが、吉見の母親は住み込みの家政婦だったことから、色坂との交流は続いたという
吉見は高校を卒業して働き、色坂は一流大学を出て一流企業に入った
だが色坂の悪い性格は変わっていなかったらしく、問題を起こして会社をクビになった
学生までは許されても、社会人になったら許されないことはたくさんあるのだ

3/10
コメント(5)
  • ひきこまれた。

    2024/04/10/08:52
  • 引き込まれました。

    2024/04/10/20:51
  • 10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!

    2024/04/13/19:17
  • 面白かった。展開がハラハラする。

    2024/04/19/09:19
  • すごかった。

    2024/09/10/17:32

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