すると安河内はRinRinさんにしばらくここで待っていて欲しいと言うと一人階段を上り始める。
彼はぎしりぎしりと踏板を踏みしめながら薄暗い先に姿を消した。
続いて階上で廊下を歩く音がしてやがて止んだ。
それから安河内の息を殺した抑え気味の声が微かに聞こえてくる。
「あの、、大変恐縮なんですが、少しの間だけで結構ですので、こちらのお部屋を拝見させていただきたいのですが、、」
それから数分の後、
再び二階廊下の足音がしたかと思うと階段踏板の軋む音が徐々に近づいてきて、やがて階下に安河内の姿が現れた。
彼は緊張した面持ちでRinRinさんの顔を見て一回こくりと頷くと再び上りだす。
RinRinさんが後に続く。
二人は階段を上りきると、その場に並び立った。
二階も一階と同じくフローリングの廊下が奥の部屋のドアまで真っすぐ伸びていて、途中いくつかのドアが左右にある。
安河内は最初の時にしたのと同じようにドアを一つ一つ開いてはRinRinさんに見せて説明していった。
どの部屋も特に変わったところはなく、単なる普通のトイレや浴室、洋室そして和室のようだ。
そしていよいよ奥のドアの前まで来ると安河内は立ち止まる。
それから緊張した面持ちでRinRinさんの顔を見て軽く深呼吸をした後ドアノブを握り「入ります」と小さく呟くと、ゆっくり開いていった。
※※※※※※※※※※
視界に徐々に入ってくる異常な光景に安河内は思わず息を飲む。
8帖ほどの畳部屋には家具や調度品など一切置かれておらず、がらんとしていた。
そんなことよりも彼が驚いたのは、窓、壁、天井全てに新聞紙が隙間なく貼られ光が遮断されていること。
さらにその貼られた新聞紙のあちこちには、画用紙サイズに引き延ばされた女性と思しき写真が貼られており、そのいくつかの表面に「みなこ」とか「ゆるす」とか「あいしてた」とか赤い墨汁で大きく筆書きされている。
安河内は入口から一歩踏み込む。


























生きている人間が怖い。
おっしゃる通りですね
─ねこじろう