そして薄暗い室内を改めて見渡しながら「平田さん、、平田さん、、何処ですか?」と声をかける。
だが特に室内に変化はない。
再び安河内が声をかけていると、
「あの、、ほら、あそこ」
といきなりRinRinさんが彼の背中をつつきながらある方を指差す。
そこは入口入って右手奥の辺り。
安河内はそちらに視線をやると「あっ」と声を出した。
新聞紙が貼られていて気付かなかったが、そこは押し入れのようで襖に少し5センチほどの隙間がある。
安河内はそろそろとその向かいまで歩くと小声で「平田さん、いるんですか?」と声をかけながら隙間に顔を近づけていく。
そして、、、
「うわっ!」と小さく悲鳴をあげると数歩後退りし、思わず背後のRinRinさんとぶつかった。
そこは襖の隙間奥。
真っ赤に充血した両目をした男の無表情な白い顔がボンヤリ浮かんでいる。
男は何故かパンツ一枚で押し入れの上段に正座をしているようだ。
ガリガリに痩せていてあばら骨が浮いているのが分かる。
そしてはっきりとは聞こえないような声でなにやらぶつぶつ呟いている。
呆然と立ち尽くす安河内とRinRinさん。
すると安河内が思い切って男に声をかけた。
「あの、、お取込み中すみませんが、こちらの方が1階を借りたいと言われているのですが?」
「…………」
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生きている人間が怖い。
おっしゃる通りですね
─ねこじろう