パンドラ(後日談)
投稿者:綿貫 一 (31)
『蒸発にしろ、ふつう家族は警察に捜索願いを出すんじゃないか?』
『警察があのレンタルボックスの借り主を当たれば、オヤジはすぐに見つかっていいはずなんじゃないか?』
『あの時オヤジが乗ってきた車が敷地にあったはずだ。その周囲を探せば、オヤジはすぐに見つかったはずじゃないか?』
だが、次々に湧き上がる疑念を、目の前の友人に尋ねるわけにはいかなかった。
深入りすれば、どこかでボロが出かねない。
どこかにとんでもない地雷が埋まっていないとも限らない。
俺はモヤモヤと晴れない気持ちのまま、ビールをあおった。
「そういえば、お前が引っ越した頃って、例の『連続児童失踪事件』があった時だよな。
お前、その後のことって知ってるか?」
俺は首を横に振った。
そちらは、世間的には大事件だとしても、「俺自身の事件」に比べれば他人事に過ぎない。
そう思っていた。
だが。
「町はずれのレンタルボックス」
友人が口にした言葉に、俺は頭を殴られたような衝撃を覚えた。
動悸が激しくなり、一気に汗が吹き出る。
「知ってるだろ? あのカブトとかクワが採れた森のそばにあった。
あそこにさ、誘拐された子供たちの死体が詰め込まれてたんだよ」
――は?
――コイツは何を言っている?
だってあそこにあるのは俺が閉じ込めた女装オヤジの死体のはずであって仮に本当にあの場所でそんなものが発見されたのならオヤジの死体だって同時に見つかったはずでじゃあやっぱりオヤジは自力で脱出して自分の意思で失踪したってことなのか――
「あのレンタルボックスの一番奥の、『一階』にあるコンテナの中に、5人の子供の死体が詰め込まれてたんだ。
見つかったのは、俺たちが中1の頃だったかなあ。
大事件だったからさ。テレビ局の連中が町に押しかけて、しばらく大騒ぎだったんだぜ?
知らなかったか?」
――一階?
――一番奥の、一階のコンテナだと?
仕組まれたような、奇妙な一致。
俺がオヤジを閉じ込めたのが『2階』のコンテナで、それならあのとき、俺の、俺たちの足の下には死体が死体が死体が死体が死体が死体が
パン屋のオヤジが変態殺人鬼扱いされてて
女装趣味と被疑者死亡のコンボで詳細が伏せられてるとか…(´・д・`)?