【short_67】狩猟解体
投稿者:kana (210)
オレはハンターをやっている。山の中に解体所も持っているので、時々ハンター仲間たちもイノシシなんかを持ち込んでくる。
実は今もイノシシの解体中だ。
ドラム缶を改良して作った大鍋に70度ほどの湯を沸かし、
そこにイノシシを漬ける。
こうすることで、硬い毛がこそぎ取りやすくなる。
ついでにびっしりとまとわりついているマダニも殺せる。
細かい剛毛はバーナーの火を浴びせて焼く。
焼いたら一通りタワシでこすって水洗いしてやる。
こうなるともうイノシシというより豚のような外見で、肌の色なんて人間と大差ない。
そのあと解体していくのだが、オレは大きいカッターを使って解体する。
脂がすごいので刃がすぐダメになってしまうのと、最初の頃は高いナイフをカッコよく使っていたのだが、とにかくナイフは山でよく無くしてしまうことから、もう解体用ナイフにお金をかけるのがもったいなくてやめたのだ。まぁこれは「ハンターあるある」だ。
さて、イノシシの頭を切り落とし、
お腹を割き、胸骨を取って内臓を抜き取る。
かなりの血が流れる。心臓とレバーは刺身でもいける新鮮さだ。
真ん中から割って背骨を取れば、あとは「お肉」にするだけだ。
ちょうどその時、ハンター仲間のAがやってきた。
「オイーッス!イノシシ捕まえたの持ってきたから、解体お願いするわ!」
オレはあきれて応えてやった。「またイノシシかよ、獲れすぎだろハハハ」
「なんだい、解体やってんのかい?」とノンキにのぞき込んできたA。
が、次の瞬間、大声で悲鳴を上げ、その場にへたり込んだ。
「お、お、おまえ!なんで、なんで人間解体してんだよぉぉぉぉ!」
「はぁああ?」(コイツ何を言ってやがるんだ?)
オレは今しがたまで解体していたイノシシを振り返って眺めてみた・・・。
そこにはイノシシではなく、内臓を抜かれたオレの妻が転がっていた。
kanaです。こちら、以前3~4pくらいの長さで投稿したことのある「狩猟解体」という作品を
話をシンプルに削って1pにまとめたものとなります。
元の作品はハンターの減少やら地方の獣害などの社会問題の実情もからめていたので、
より作品にのめり込めるとは思うのですが、怖い話だけ聞きたい方にはこちらの方がよりシンプルで良いかと思います。あと、ラストもよりわかりやすいオチにしてみました。
興味がある方はぜひ元ネタの方もご覧ください。
うわっ((( ;゚Д゚)))
元のネタも読んでみたいと思います。
自分も時々シャワー浴びてて「あれ?シャンプーってしたっけかな?これからだっけな?」とわからなくなることがあるので、この主人公も途中からイノシシだったか奥さんだったかわからなくなったんでしょうね。たぶん伊之助みたいな顔の奥さんだったに違いない。