変なきりんさん
投稿者:ねこじろう (156)
私もつられて喪服の胸ポケットからハンカチを出すと、目頭を押さえた。
しばらくすると彼女はまた話しだす。
「それでどうにも気になった私はその翌日、勤め先を午後から早退し団地に帰り、愛花里の指差していた二階奥の部屋に行ってみようと思ったんです。
そして団地に行き着くといつも通り二階まで歩き、何気に渡り廊下の先を見た時です。
ゾクリと背筋に冷たいものが走りました。
その時私には確かに見えたんです、あれが。
廊下沿いに並ぶ金属の入口扉、その一番奥の前辺りに、
午後の気だるい日差しに照らされ、奇妙な人らしき者がポツンと立っているんです。
こちらに背中を向けたその人は多分裸だったと思います。
がっくりと肩を丸めて、ただ首だけは異様に長くて頭部を前に項垂れています。
その光景が信じられなかった私は一瞬、目を瞑りました。
それから再び見た時には、それはいませんでした。
私は勇気を出して、その場所まで歩きます。
赤茶けた金属の扉の下部にあるポスト口には郵便物が溢れるほどぎっしり詰まっている。
扉横手には『田中』という表札。
不審に思った私は呼び出しのブザーを押してみました。
ブーーー!!
何度となく押すのですが何の返事もありません。
軽くノックして『田中さん、田中さん』と声をかけたのですが、やはり同じでした。
だから私はやむを得ず、ドアノブを回してみたんです。
そしたら意外に簡単に開いて、、
扉を開くといきなり何と言うか生ゴミの腐ったような匂いが鼻をつき、私は思わず鼻と口を押さえます。
そして恐々『田中さん、田中さん居ますか?」と廊下の奥に向かって声をかけましたが、やはり返事はありません。
それで『すみません、あがりますよ』と言うと、靴を脱いで廊下に上がります。
間取りはうちと同じはずですから真っ直ぐ歩き、突き当たりのリビング入口扉を開けました。
室内はきちんと片付けられており、正面奥のサッシ戸のカーテンは閉じられ、中央にあるダイニングテーブルの上には畳んだ新聞が一つ置かれているだけです。
『田中さん、田中さん、いるなら返事してください』と言いながら私はリビングを横切り、隣の和室を区切る襖の取っ手に手を掛けると、ゆっくり開けていきます」
いや〜怖かったです。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
面白かった。興奮しました。
コメントありがとうございます。─ねこじろう
怖かった。
最後意味分かった
コメントありがとうございます。
─ねこじろう