奇々怪々 お知らせ

不思議体験

綿貫 一さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ハーメルン
長編 2024/01/17 21:36 7,641view
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約束を破られた男は、怒って再び笛を吹きました。

今度はネズミではなく、街中の子供たちが、彼の後をついていきました。

男は子供たちを引き連れて、そのままどこかへ去って行ってしまいましたとさ』

§
§

目には見えないけれど、子供を操り、連れていく。
そんな存在がいるのでしょうか?
けれど、まるで導かれるかのように、陸はこの路地、このマンホールの穴へと、自分から歩いていったのです。

私は恐怖と安堵から、陸の身体を抱いたまま、へなへなとその場にへたり込んでしまいました。

――と、視線の先。

電柱の足元。
そこに、あるものが見えました。

初めは気づきませんでした。
立ったままでは。
座りこまなくては。
そう、大人の目線では――。

「→」

そこにあったのは、白いチョークで描かれた「矢印」でした。

矢印の先には、マンホールの穴。
「これ」は確かに、「あれ」を指している。

ということは。

――あった。

電柱の手前、小路の入り口の板張りの塀の隅。
そこにも、チョークで描かれた「→(矢印)」。

――ひょっとして。

郵便ポストの足元「→」
マンションのエントランスのタイル「→」
工事中の看板「→」
側溝のコンクリートの蓋「→」
電話ボックスの壁面「→」

5/7
コメント(3)
  • ハラハラドキドキ面白かったです。

    2024/01/20/01:28
  • 読みやすく面白かったです

    2024/01/27/11:07
  • 犯人は誰だろう?
    お母さんやお父さん…じゃないしな

    2024/01/30/01:27

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