ハーメルン
投稿者:綿貫 一 (31)
長編
2024/01/17
21:36
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約束を破られた男は、怒って再び笛を吹きました。
今度はネズミではなく、街中の子供たちが、彼の後をついていきました。
男は子供たちを引き連れて、そのままどこかへ去って行ってしまいましたとさ』
§
§
目には見えないけれど、子供を操り、連れていく。
そんな存在がいるのでしょうか?
けれど、まるで導かれるかのように、陸はこの路地、このマンホールの穴へと、自分から歩いていったのです。
私は恐怖と安堵から、陸の身体を抱いたまま、へなへなとその場にへたり込んでしまいました。
――と、視線の先。
電柱の足元。
そこに、あるものが見えました。
初めは気づきませんでした。
立ったままでは。
座りこまなくては。
そう、大人の目線では――。
「→」
そこにあったのは、白いチョークで描かれた「矢印」でした。
矢印の先には、マンホールの穴。
「これ」は確かに、「あれ」を指している。
ということは。
――あった。
電柱の手前、小路の入り口の板張りの塀の隅。
そこにも、チョークで描かれた「→(矢印)」。
――ひょっとして。
郵便ポストの足元「→」
マンションのエントランスのタイル「→」
工事中の看板「→」
側溝のコンクリートの蓋「→」
電話ボックスの壁面「→」
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ハラハラドキドキ面白かったです。
読みやすく面白かったです
犯人は誰だろう?
お母さんやお父さん…じゃないしな