【慎太郎くんのいたという家】
投稿者:ねこじろう (147)
藤木がそれらの一つを手に取りしげしげ眺めながら呟くと、倉崎が真剣な顔でフィギュアの数を数えだす。
堀江が口を開く。
「恐らく嘗てはここにある倍はあったんだろう。
母親は部屋の掃除の時、誤ってその中の一つを捨ててしまったんだ。それが慎太郎くんの逆鱗に触れて、、、」
「やっぱりおかしいよ。
人形を捨てられたくらいで」
愛実が言うと、堀江が続ける。
「こいつは多分閉じ込められた孤独な慎太郎くんの、唯一の友人であり恋人だったんだ。
だから、、、」
「ねえ、もう大分日も落ちてきたことだし、帰ろうよ」
愛実が窓の方を見ながら言った。
確かにカーテンからの日差しには勢いがない。
「じゃあ、そろそろ退散するか?」とフィギュアを持った藤木が振り向いた時だった。
「ねえ何か聞こえない?」
突然愛実が呟く。
彼女の言葉で四人は無言になり、耳を澄ました。
ギシッ、、ギシッ、、ギシッ、、ギシッ、、
「そうだな。確かに何か軋むような音がしている」
藤木が言うと、倉崎が「階段だよ、階段の踏み板が軋む音だよ。誰かが二階にあがって来てるんだよ!」と怯えた様子で言うと、
続いて甲高い男の声が続く。
「ママ~、ママ~、ねえママ~」
ドン、、ドン、、ドン、、、ガチャり、、
ドン、、ドン、、ドン、、、ガチャり、、
どうやら廊下を歩いては他の部屋のドアを開けているようだ。
「ママ~、ママ~、ねえママ~、どこにいるんだよ~」
声と足音は徐々に四人のいる部屋に近づいてきている。
「やっぱり慎太郎くんだ。慎太郎くんがこっちに近づいてきているんだよ」
倉崎が言っている間に残りの三人は何か話し合っていたが、すぐに堀江は窓際にある学習机のところまで歩きそれを持ち上げ鉄格子の扉前にくっつけるように置くと、さらにその上に椅子を乗せる。
愛実は窓のところまで行きカーテンを開き窓を全開にすると藤木がベッドにあるかけ布団を持ってきて窓から外に垂らす。
どうやら窓から逃げるという魂胆のようだ。
怖いです ゚ ゚ ( Д )
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
読み応えありました。
コメントありがとうございます。─ねこじろう
慎太郎くんに感情移入して読んでしまったのでなんだかもの悲しくせつない気持ちになりました。
後はご想像にお任せします。か。
怖い話のオチ考えるのは大変ではあるけど。
少なくとも何かは考えて欲しい