【慎太郎くんのいたという家】
投稿者:ねこじろう (147)
男三人が布団の端を持つと愛実は反対側の端に掴まりながら窓から外に出て、体を伸ばした状態のまま玄関脇の雑草地に飛び降りる。
次に倉崎が布団に掴まりながら窓から外に出ようとしていると、とうとう声は部屋の入口辺りから聞こえてきた。
「ママ~、ママ~、ねえママ~、そこなの?
そこにいるの?」
藤木と堀江が布団の端を持ったまま、緊張した面持ちで部屋の入口を注視する。
するとドアのノブがカチャリと回転し、一人の男が入ってきた。
その異様な風体に二人は一瞬で背筋を凍らせる。
その男は天井にも届きそうな背丈をしていた。
屈強そうなその肉体には不似合いなピチピチのボーダー柄のTシャツに半ズボン姿だ。
男は鉄格子を両手で握って泣きそうな顔をしながら、
「ああ、お前ら、ボクのフィギュアを盗もうとしてるな」と叫ぶと、下部の扉を開けようとする。
だが机と椅子が邪魔をして開けられない。
藤木は倉崎が下の雑草地降り立ったことを確認すると、
「俺が最後だ」と言って堀江を先に行かす。
そして堀江が下に降り立った時だ。
異形の男が室内に入ってくると、泣きながら藤木に近づいてくる。
「返せよ、ボクのフィギュア、返せよ!」
「ヤバい!ヤバい!」と言いながら藤木は窓から両足を出すと、一か八かそのまま飛び降りた。
着地と同時に鋭い痛みが脚全体を走る。
それから四人はほうほうの体で車のところまで行き着き、各々急いで乗り込むと、藤木が足を負傷しているため愛実の運転で出発した。
その時にはすっかり日は落ちていて四人は市街地までたどり着くと、ネットで救急病院を探してそこに行く。
それから担当の医師に診てもらったところ、やはり藤木の足は骨折していて即入院ということになった。
※※※※※※※※※※
それから一週間が過ぎた。
手術はうまくいき、藤木は市街地にある市立病院の個室部屋で退屈な毎日を送っていた。
両足には包帯がぐるぐる巻きされている。
その日彼は、午後から見舞いに来てくれた愛実と個室で談笑していた。
「でもさあ、結局あの時襲ってきた男って、やっぱり慎太郎くんだったのかな?」
枕元に座る愛実がベッドに横たわる藤木に言う。
彼はしばらく遠くを見るような顔をしていたが、
怖いです ゚ ゚ ( Д )
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
読み応えありました。
コメントありがとうございます。─ねこじろう
慎太郎くんに感情移入して読んでしまったのでなんだかもの悲しくせつない気持ちになりました。
後はご想像にお任せします。か。
怖い話のオチ考えるのは大変ではあるけど。
少なくとも何かは考えて欲しい