【short_20】現実的呪詛グッズ

中学生だった頃、学校に大嫌いな先生がいて、いつか殺してやろうと恨むようになっていました。ひどく陰湿な先生で、生徒を差別したり泣かせたりは日常茶飯事。この世に居ちゃいけない大人、だからいつかやっつけてやろうと思っていました。

当時は今のように便利なインターネットもない時代。それでも今と同じように、いや今よりもっとオカルトが大人気で、漫画や雑誌の裏表紙には怪しげなグッズの通販がてんこ盛りの時代でした。

そこにあった「呪いのグッズ」にボクは目が留まりました。『殺傷力抜群』のタイトル文字に心躍り、さっそくお小遣いの3000円を現金書留で送って注文しました。

１週間後送られてきたものを見て驚きました。
呪いの仕方がいろいろ書いてある小さな冊子と、カッターナイフが一本ついてきたのです。
「最後はこれで、恨みを晴らせ」と書いてありました。

どうやら最強の呪いの方法は、物理的に片付けろってことのようでした。

ボクはそのカッターナイフを持って学校へ行きました。

「おまえなんかいつでも殺せるんやぞ、このカッターで」

そう思うことでなんだか気分が晴れる日が続き、結局カッターナイフは、
ボクが卒業するまで呪いの実行に使われることはありませんでした。

でもね、その先生。ボクが卒業して１年もたたないうちに死んだんです。
生徒にカッターナイフで首を切られて。

結局、ボクが手を下さなくても、いつかこうなる運命だったのかもしれないですね。