本物の心霊写真というもの
投稿者:ねこじろう (156)
「この女性、よく見ると確かにおかしいですな。
顔色が不気味なまでに青くて、体越しに背後の景色が薄く透き通って見えている。
そして、あなたの友人に何か話しかけているようですが、このHさんという方、その後体調とかどうですか?」
「それが、この写真を見て以来自宅に引きこもってしまって、ここ最近はラインや電話しても返事がこなくなって心配していたら、3日ほど前に他の友人から電話があって、、、」
ここでSは一度俯くと、やがて意を決した様子で話しだした。
「Hがその日の朝、死んだと彼の母親から電話があったらしくて、、、」
「死んだ?一体どうして?」
K氏が驚いた様子で尋ねると、Sがまた話し出す。
「朝方母親が何度呼んでも二階の部屋から出てこないから心配で中に入ってみると、誰もいなくて不審に思い辺りを見たそうです。そしたら窓が空いたままになっていたから外を見たら血だらけのHが窓の下の庭にパジャマ姿で横たわっていたらしくて、すぐに救急搬送されたそうなんですが既に亡くなっていたということでした」
「死因はなんだったのですか?」
「体のあちこちの骨が折れて首や手足があらぬ方向に曲がっていて、内臓破裂もあったみたいです。医師は、10階建てのビルから飛び降りたくらいの遺体の損傷だったということで、どう考えても二階から落下した程度のものではなかったということでした」
そこまで喋りSはガックリと肩を落とした。
K氏はまた改めて写真を凝視していたが、やがて顔を上げると口を開く。
「この写真の女、、、
あなた方くらいの若い男数人に弄ばれて、悲観してこの展望台から身を投げたようです。
かなりの怒りや恨みの念を抱いたまま身を投じたようで、その魂は未だにこの世を彷徨っておるみたいですな。
その強い想いをもて余している時、たまたま若いあなた方が近くに現れたんでしょうな。
タイミングが悪かったんです。
ご友人の方は本当にお気の毒でした。
顛末はだいたい分かりましたが、それで本日はこの私に何を求めて来られたんですか?」
K氏に問われ、Sはしばらく俯き押し黙っていた。
だがやがて意を決したように顔を上げると、「実は、、、」と言いながら携帯を片手に持ち、ある画像を画面に表示すると、そのままそれをK氏に手渡した。
K氏はそれを眼前にかざすと、画面の映像を凝視する。
Sが説明を加えた。
「その画像は、この間のクリスマスパーティーで彼女と一緒に撮った写真です。」
それはテナントビル10階にあるパーティー会場。
和やかな雰囲気の店内の奥まった辺り、
二人の男女が、背後にある等身大くらいのウインドウに背中をくっつけるようにして立っている。
ウインドウ向こうには暗闇が広がり、無数の星が瞬いていた。
左手はSで、その右手には彼女と思われる女性が笑顔で立っている。
kanaです(旧姓kama)
ねこじろう様、100話おめでとうございます。
kana様
ありがとうございます。
そうでしたね、もうそんなになるのですね。
100物語ならば100話めに怪異が起こると言われてますが、何か恐ろしいことが起こるかも知れませんね(笑)
これこそ奇奇怪々です。
投稿者様100話おめでとうございます。次回作も楽しみです。
ありがとうございます。
─ねこじろう
Fと同じようにってHのことですか?
おっと、いけない!
記載ミスのようです。
ご指摘のとおりHです。
ありがとうございます。
─ねこじろう