本物の心霊写真というもの
投稿者:ねこじろう (156)
ただそこにはやはり、奇妙な者が映りこんでいた。
その者はウインドウの外側におり、Sの肩に寄り添うにして立っていた。
その白くボンヤリした姿は間違いなく、あの展望台に映りこんでいたあの女だ。
Hの時と同じように青黒い顔をSへと向け、恐ろしい形相で睨んでいる。
驚愕の表情で写真を見るK氏の顔を見ながら、Sが続ける。
「私の肩越しに見えるその女。
明らかにウインドウの外に立っています。
その会場はビルの10階にあるわけですから、あり得ないんです。
そしてこの写真を撮った日の翌日辺りから、たまに耳元で囁くような低くくぐもった女の声が聞こえるんです。
朝も昼も夜寝てからまでも」
「何と聞こえるんですか?」
「絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
、、、
何度も何度も」
繰り返しながらSはそのまま俯くと、両耳を塞ぎ卓に突伏した。
そして肩を震わせなからK氏に訴える。
「先生、お願いします、助けてください。
私、まだ死にたくないんです」
K氏は目を瞑り腕組みしたまましばらく考え続けていたが、やがて目を開くと、
「Sさん、あなたの不安なお気持ちよく分かります。
でもここまで強い負の思念を抱いた霊には、私も今まで出会ったことがないんです。
だから本当にお気の毒なんですが、、、」
と言って、おずおずと携帯をSに返す。
それからは、
Sの悲痛なすすり泣きだけが、部屋内を響き渡っていた。
【了】
kanaです(旧姓kama)
ねこじろう様、100話おめでとうございます。
kana様
ありがとうございます。
そうでしたね、もうそんなになるのですね。
100物語ならば100話めに怪異が起こると言われてますが、何か恐ろしいことが起こるかも知れませんね(笑)
これこそ奇奇怪々です。
投稿者様100話おめでとうございます。次回作も楽しみです。
ありがとうございます。
─ねこじろう
Fと同じようにってHのことですか?
おっと、いけない!
記載ミスのようです。
ご指摘のとおりHです。
ありがとうございます。
─ねこじろう