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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

本物の心霊写真というもの
長編 2024/01/08 10:38 7,351view
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ただそこにはやはり、奇妙な者が映りこんでいた。

その者はウインドウの外側におり、Sの肩に寄り添うにして立っていた。
その白くボンヤリした姿は間違いなく、あの展望台に映りこんでいたあの女だ。
Hの時と同じように青黒い顔をSへと向け、恐ろしい形相で睨んでいる。

驚愕の表情で写真を見るK氏の顔を見ながら、Sが続ける。

「私の肩越しに見えるその女。
明らかにウインドウの外に立っています。
その会場はビルの10階にあるわけですから、あり得ないんです。
そしてこの写真を撮った日の翌日辺りから、たまに耳元で囁くような低くくぐもった女の声が聞こえるんです。
朝も昼も夜寝てからまでも」

「何と聞こえるんですか?」

「絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
絶対に許さない、、、
、、、
何度も何度も」

繰り返しながらSはそのまま俯くと、両耳を塞ぎ卓に突伏した。
そして肩を震わせなからK氏に訴える。

「先生、お願いします、助けてください。

私、まだ死にたくないんです」

K氏は目を瞑り腕組みしたまましばらく考え続けていたが、やがて目を開くと、

「Sさん、あなたの不安なお気持ちよく分かります。
でもここまで強い負の思念を抱いた霊には、私も今まで出会ったことがないんです。
だから本当にお気の毒なんですが、、、」

と言って、おずおずと携帯をSに返す。
それからは、

Sの悲痛なすすり泣きだけが、部屋内を響き渡っていた。

【了】

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コメント(7)
  • kanaです(旧姓kama)
    ねこじろう様、100話おめでとうございます。

    2024/01/08/22:09
  • kana様
    ありがとうございます。
    そうでしたね、もうそんなになるのですね。
    100物語ならば100話めに怪異が起こると言われてますが、何か恐ろしいことが起こるかも知れませんね(笑)

    2024/01/09/11:47
  • これこそ奇奇怪々です。

    2024/01/10/00:40
  • 投稿者様100話おめでとうございます。次回作も楽しみです。

    2024/01/10/06:56
  • ありがとうございます。
    ─ねこじろう

    2024/01/10/11:03
  • Fと同じようにってHのことですか?

    2024/01/12/10:11
  • おっと、いけない!
    記載ミスのようです。
    ご指摘のとおりHです。
    ありがとうございます。
    ─ねこじろう

    2024/01/12/19:58

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