【short_08】コトリバコつくろう~

「コトリバコつくろう~」

中学のクラスメイトの友人が突然言ってきた。

「雪だるまつくろうみたいに言うなや」

そいつは昔からオカルト好きで、ネットで怪談を読んだり、見たり、怖い本を買ったり、
映画はホラーばかり見て、心霊スポットにもよく出かけるようなやつだった。

そいつがコトリバコを作ろうと言ってきたのだ。もちろんそれがなんなのかボクは知っている。さんざん友人から聞かされていたからだ。なんでも子供の体の一部を使って作った呪いの箱なのだとか。

「だいたい、材料はどうすんだよ。子供でも誘拐してくるんか?」

「そんなの無理に決まってるだろ。だから、オリジナルのを作るのさ」

何を言ってるんだコイツ・・・。そう思っていたが、事態はとんでもない方向へ向かった。

友人が死んだのである。飼っていた大型犬に噛み殺されたのだ。

その犬なら触ったこともある。犬種は何かよく知らないが、真っ白で大きくて、ふわふわで、優しく大人しい犬だった。それが友人の喉元に噛みついて殺してしまったのである。
あの真っ白な犬が血で真っ赤になった姿は想像したくない。

実はその犬は妊娠しており、もうすぐ仔犬がうまれそうだという話を聞いていた。
だから判った・・・。

「・・・そうかアイツ、生まれたばかりの仔犬を材料に使ったんだな・・・たぶんそのシーンを親犬の目の前でやったんだろう・・・因果応報だよ、バカヤロウ・・・」

そう、ヤツは〈コトリバコ〉ならぬ〈コイヌバコ〉とでも言うようなものを作ったのだ。
呪いの効果はどうやらあったようだ。製作者が死ぬという呪いが発動したのだから。

その箱が今どこにあるかは判らない。泣いてる親御さんに聞くわけにもいかなかった。
まぁ・・・処分されていることを祈る。