ミミズ人間
投稿者:綿貫 一 (31)
長編
2023/12/26
09:34
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ガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタンガタン!
ゴー!
電車の車両が目の前を猛烈な勢いで通り過ぎた。
ミミズ人間のちょうど真上を。
ブチブチブチブチブチブチ――!
圧倒的な質量が、柔かい皮を、肉を、筋を、すり潰しながら切断していく。
顔に、何かの液体がかかった。
それが何かは、わかりたくもなかった。
すべての車両が通り過ぎ、踏切の警報音が鳴りやんだ。
結局、遮断機は一度も降りなかった。
再び訪れた、死んだような静寂。
目の前の線路には、身体半分、上半身だけになったミミズ人間の残骸があった。
動かない。
……助かった?
助かった……。
私がそっと、ため息をついた瞬間、
「あああぎゃあぃあがぁピぃああああぃうぎゃぴぃあああぃぃぃ!!!!!!!!」
ビチビチビチビチビチビチビチビチ――!
動いた!
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kanaです。綿貫さんはいいお話いっぱい書いてますよね。素晴らしいです。
綿貫です。kana様、ありがとうございます。恐縮です。