自殺をやめた友人Dの話

ということは、あの回送電車に乗っていた6人の乗客って…？

その場から動けないでいると、いつものように警報機が鳴り遮断機が下りて、終電が通り過ぎた。

遮断機が上がって15分程待つと、またあの回送電車がやってくるはずだ。

また同じ乗客なのか、窓際の女子高生はどうなったのか、どうしても確認したくなった。

およそ15分後、警報機がなり遮断機が下りた。

今日もまた「回送」と書かれた1両だけの電車がゆっくりと近づいてきた。

運転席の中が見えるほどに電車は近づき、乗客の様子を確認した。

運転手の他に6人、いや今日は7人いる。

増えた一人は、おととい見た窓際のあの女子高生だった。

そしてまた、その全員がこちらを見ていた。

電車はゆっくりと走り、その真横を見ると、前のドアの窓際に一人の男性が立っているのが分かった。

その男性の顔がはっきり見えたのだ。

友人Dはこの時間にこの踏切に来るのをこれでやめたという。

もしまたこの踏切に来たら、自分はあの運転席の乗客の8人目になると思ったからだ。