泣き叫ぶ白鳥を見ていた亀井が、なにを思ったか背負っていたリュックを一旦降ろして白鳥の前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
亀井「白鳥さんは私がオンブして行くっす。一緒にゴールしましょう」
朽屋「えっ、でも人ひとりオンブしてゴールまで行くってかなりしんどいと思うぞ」
亀井「大丈夫っす。私、中学の時ウェイトリフティングやってて、転校してきて、ここの高校では部活が無いんですけど、今でもジムで自主トレしてるんです。白鳥さんくらい軽いもんです。乗ってください」
朽屋「マジか・・・よし、白鳥さん、お言葉に甘えてオンブさせてもらえ」
ちょっと恥ずかしそうにしながら、白鳥は亀井にオンブされた。
亀井「軽いっす、ぜんぜん余裕っす。行けます」
朽屋「よっしゃ、じゃあその作戦で行こうか。二人のリュックはわたしらで持つよ」
頼子「了解」
4人は再び移動を開始した。
白鳥を背負いながら、亀井が超絶に長いスロープを下って行く。
白鳥は思った。大きな背中、それに脂肪かと思っていた亀井の身体は筋肉でガッシリして固く、まるで本当に大きなカメの背中にでも乗っているかのような安心感。
白鳥「朽屋先輩!・・・ちょっと亀井さんの肩とか触ってみてください!すごい筋肉ですよ!」
朽屋「えっ、ほんと?どれどれちょっと触ってもいいかな~シズカちゃん~」
頼子「ルコちゃん!!・・・言い方!!」
ΩΩΩ「どれどれどれどれ」結局3人で亀井の肩や腕をもみだす。
亀井「く、くすぐったいっす・・・」
朽屋「ほんとだ・・・すげえ・・・」
頼子「うーん、これは隠れた逸材を見つけたわ」
白鳥「亀井さんの身体って・・・全部筋肉だったのね・・・スゴイ」
やがて最後のスロープ。その先にはゴールの入り口が見えてきた。
白鳥「なんか、見覚えのある風景ね・・・」
亀井「11月の夜のこの場所を、一緒に歩いたっすね」
白鳥「あぁ、そうよね・・・なんだか夢でも見てた気分・・・ねぇ、きっと誰に話しても信じてもらえないだろうし、私たちだけの秘密にしない?」
亀井「わかりました。そうしましょう」
白鳥「もう、そんなわかりましたーとか敬語みたいなしゃべり方しなくていいってば」
亀井「は、はい・・・」
白鳥「もう~・・・(笑)」
・・・・・・
頼子「おっ先~1抜け~」頼子がゴールした。


























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第14弾は高校時代の「強行遠足事件」です。
ジャンルを不思議体験のところに入れたので、「創作なのになんで体験なんだよ~」と思う方もいるかもしれませんので一応弁明させていただくと、朽屋瑠子シリーズは楽しめるロマンホラー要素をもちつつ、ボクの書いた怪談を解決していく役目を持っています。で、今回のお話はボクが高校時代に体験した「強行遠足2年目の死」という実体験を朽屋たちに追体験してもらって、おもしろおかしくしてもらおうと考えた企画なので、ベースはボクの体験なのでいいかな、と思ってこのジャンルにしました。みなさんもぜひ、エンタメとして気軽にお楽しみください。
実体験をベースにしたようですが、車の中に白骨を見つけたのですか?
よかったです。休み時間に読んでてあぶなく泣きそうになりました。
今回は、友情、協力、諦めない、色々な要素が盛りだくさんで面白かったです。
↑kamaです。コメントありがとうございます。楽しんでいただいてなによりです。
相棒の貴澄頼子が、高学年になるほど辛辣になって行くところも、シリーズ通して見るとおもしろいですよ。お楽しみください。
よくわからないんですが、頼子ちゃんって幽霊じゃなっかったんですか、、、
頼子さんって幽霊じゃなかったけ?