深夜のテレビショッピング
投稿者:ねこじろう (147)
「今回は皆様の熱烈なご要望にもお応えしまして五個セットで特別価格なんと、
二万九千八百円でお届けいたします!
もちろん税込みです」
スタジオ内に沸き起こる歓声と拍手。
MCの男が続ける。
「さらに今回はオーソドックスな黒色の他、スタイリッシュな灰色、清楚な白色もご準備させていただきましたので、お好きな色をお選び下さい」
「白の練炭なんて、おしゃれで素敵ですね」
女が楽しげに言うと男は頷き、さらに続けた。
「しかも今回三十分以内にご注文いただいた方にはもれなく、車を内部から密閉するテープをお付けします。色は透明、赤、白、黒と準備しておりますので、お好きな色をお選びください。
あと追加料金をいただきますと、真夜中でも明るく輝くLEDテープもお付けできます。
これだと車内がピカピカ光りますから、後ほどの遺体発見もスムーズになるのでとても便利です」
「わぁ、車内がピカピカ光るなんてロマンチックですね~」
と女が言うと、男が最後の説明に入る。
「さあ、そんな色とりどりで楽しいテープのおまけのついた便利な『みんなで楽々心中くん』
皆さまのご家庭にもお一ついかがでしょうか?
それでは最後にお電話番号のご案内です。
皆様メモのご用意を……」
※※※※※※※※※※※※※※※※
俺は急いでペンを取って来ると再びソファに座り、電話番号をメモした。
目の前のガラステーブルには、市民税の最後通牒の封筒や銀行・消費者金融などからの請求書などが乱雑に散らばっており、その横には飲みかけのビールの缶が置かれている。
俺はビールを取ると一気に飲み干した後、大きくため息をつく。
ここ数日まともに食事をしてないせいか、酔いがまわるのが早い。
しばらくぐったりと項垂れていたが、
やがてゆっくり顔を上げると恐る恐る部屋の片隅に視線をやる。
そこには、首筋をどす黒く変色させ変わり果てた姿になった妻が横たわっていた。
【了】
これはぜひフジテレビでやって欲しい。
なるほど、、
─ねこじろう
夢グループで脳内再生しました
ナイスですwww
─ねこじろう