深夜のテレビショッピング
投稿者:ねこじろう (147)
「気になるでしょう?」
「はい、早く教えてくださいよ!」
「その前に、こちらの画像をご覧ください!」
二人の後ろ側にある大きな画面に、仲睦まじい家族の写真が映し出された。
畳敷きの部屋には白髪頭の老夫婦を中心に背後には若い夫婦、その横には二人の小学生くらいの男女が並んでいる。
皆、にこやかに微笑んでいる。
「こちらは、F市内に在住のSさんご一家の写真です。
Sさんご一家は代々雑貨店をやられていたのですが十年ほど前から近辺にコンビニやスーパーなどが乱立し、お客さんの数も激減していってました。
銀行からの借り入れや、また怪しいところからの借り入れなどもありましたので、Sさんの家には昼夜を問わずバンバン返済を求める電話が掛かっていたようです。
ここ最近は明日の食事もままならない状態に陥っておりました。
悩み苦しんだ挙句、ご主人は素晴らしい一計を案じました。
『そうだ、一家心中をしよう!』
これには奥様も大賛成。さっそく二人でいろいろ方法を考えていたのですが、最終的に行き着いたのが今回ご紹介する『みんなで楽々心中くん』です。
それでは、こちらをご覧ください」
男が言うと商品がアップされる。
直径三十センチくらいの黒いケーキ型のものである。
「この『みんなで楽々心中くん』は樹齢四百年の大木から精製された準日本製の炭から作られた『練炭』なんです」
「練炭?」
「そうです。従来のものは東南アジアとかの普通の木を原料にしており、実際に使用したときも一酸化炭素の濃度が十分ではなく本来の目的が達成できず中途半端に生存者が出るという不幸なことが起こっておりました。
その点、この『みんなで楽々心中くん』の発生する一酸化炭素濃度は従来のものの、なんと三倍。
致死率は99.97パーセント(当社比)で、使用されたご家族のほぼ全てが確実にあの世に行けるのです!しかも眠るように逝けますので痛みとかは全くありません!」
「ということは、このSさんご一家も……」
女が恐々と男に聞く。
男は女の質問に満面の笑みで答えた。
「もちろんです。先日F市郊外の河川敷に置かれた車の中で、六人全員が無事発見されました。皆さま生前そのままの本当に安らかな顔をされていたそうです。現場の写真も準備してますが……」
「ああ!もう結構です。よく分かりました。
全員仲良く逝けて、本当に良かったですね。
でも、これお高いんでしょう?」
女がお約束のセリフを言う。
これはぜひフジテレビでやって欲しい。
なるほど、、
─ねこじろう
夢グループで脳内再生しました
ナイスですwww
─ねこじろう