とあるマニアの心霊写真
投稿者:kana (210)
「いや・・・ちょっと待って、これ・・・ヤバイか、もしかして・・・」そう慌てだしたのはボクではなくSさんの方だった。
「確かにけっこうバッチリ映ってていい感じですけど・・・」
「いや、ヤバイヤバイ・・・前に見たときは横顔だったはずなのに、なんでこっち見てんだよコレ・・・」
「えっ・・・」ボクは驚いて写真の顔を凝視した。確かにこちらを見ているが・・・
「またまた~Sさん、そうやって怖がらせようと・・・」
だが、慌ててその写真を閉じようとするSさんの手は震え、なかなかマウスでうまくクリックできず、キーボードの「ctrt+w」で閉じようとする。・・・だがウインドウは閉じない。
結局Sさんはモニタの電源を一度落とした。
「ヤバイかもしれん・・・あの写真・・・」Sさんがこぼす。
「あのぅ、申し訳ないんですけど・・・今回のお話はなかったということで・・・」
ボクはSさんにそう告げた。
「えっ、・・・ボツってこと・・・ですか?」
「ハイ・・・その、なかなかいい心霊写真だとは思うんですが、まずあの写真はSさんが撮ったものじゃないですよね?・・・つまり著作権の問題というか・・・」
「はぁ・・・匿名希望ってことでもダメですか?」
「あの写真を撮った人がきっとどこかにいるわけですよね?その人が雑誌を見て『これ自分が撮った写真だー』なんて名乗りを上げてきたら、どうします?」
「そ、それは・・・」
「出所が判らない写真ですからねぇ・・・万が一盗品のカメラから出たともなれば、話はもっとややこしくなるし、Sさんの家も家捜索されるかもしれないですよ」
ボクはちょっと意地悪にキツメに言ってみたものの、まるっきり嘘でもなかった。その可能性は十分にありえる。
「それは困っちゃうなぁ・・・じゃあ止めておきます・・・でもどうしよう・・・もうモニターつける勇気ないし・・・強制終了するか・・・あぁでもデータ壊れたらどうしよう」
頭を抱えるSさんを置いて、ボクは帰ることにした。
「しかし編集会議でなんて言う? 振り出しに戻ったぞ?・・・なんの成果も得られませんでした! って調査兵団のマネでもして誤魔化すしかないか・・・」
それ以来Sさんと顔を合わせることはなく、あれからどうなったのかは判りませんが、今でもオークションサイトには誰が買うのかわからない大量のジャンクカメラが売られ続けており、時たまそんなオークションサイトを見ると、Sさんのことを思い出します。
これは恐いわ~ヒェ~~~
怖。
誰が撮ったのか分からない写真を持っている事もマニアならではですね。
Sさんのその後、写真ををどうされたのか気になりました。
とても読み応えありました。
↑kamaです。早々とコメントいただきありがとうございます。励みになります。
今回のは、ほぼオカルトや怪談なんてどーせ作り話だから怖くないよ、という怪談アンチの人をマジで心配させる話にしてみました。「あなた、コンデシどこに売りました?」
kamaです。書き忘れてました。このお話は創作ではありません。みなさまお気を付けください。
怪談と言いつつ怪談以外の部分がとても参考になる