熊被害の実体験
投稿者:とくのしん (65)
「あとひと月もするとこのあたり一面雪景色になるんだぞ」
そう言いながら装備を一通り揃えて歩いていく。山に入ると滝田の顔つきが変わった。穏やかな表情が一変、まるで本物のハンターのような鋭い顔つきになった。
「そりゃ遊び半分じゃないからな。向こうも命がかかっているし、お互い必死になる」
表情のことを滝田に言うとそのような返答をされた。趣味の延長で始めた狩猟かと思いきや、そんな遊び感覚ではないことを滝田の口から聞くことになるとは思わなかった。
山に入るとめっきり口数が少なくなった。そりゃそうだ、獣に自身の気配すら悟られないようにしなくてはならない。滝田の言葉少ない指示に従いながら私はついて回った。2時間程歩いていると、滝田に止まる促された。
「ヒグマだ。じっとしてろ」
ぼそっと聞こえるかどうかの声で私に話しかけてきた。見ると100mくらい先か、山の斜面の木々に紛れて動く黒い大きな塊が見えた。初めてみた生のヒグマの姿に私は恐怖した。大きさは2mは雄にあろうかという巨体が歩いている。こちらは茂みに身を潜め、熊の動向を見守った。
しばらく様子を見ていると、熊はそのまま奥へと消えていった。
ふーっと滝田が息をついて
「今日はもう戻ろう。俺一人ならまだしもお前を危険な目に合わせるわけいかないからな。俺がシカを仕留めるところ見せてあげたかったけど、また今度な」
そういって私たちは来た道を戻ることにした。
戻る途中、滝田が言った。
「あの熊、こっちに気づいてなかったみたいだ。さすがにビビった。猟に出て熊を見たのは初めてだったしな」
「でも猟銃あるから向かってきても大丈夫だろ」
「バカ野郎、熊はな仕留め損なったら終わりなんだよ」
地元の猟友会でも熊は下手に撃つなと釘を刺されているという。ベテランの猟師でも熊と対峙して命を落とすことは珍しくないらしい。「まぁ何にせよ早く戻ろうや」
しかしそんな家路を急ぐ私たちの歩みを止めたのはシカだった。車までもう少しというところで単独でいるのを見つけてしまったのだ。シカはこちらに気づいているのか、顔を上げて少し警戒している様子を見せていた。滝田は撃つかどうか迷っていた様子であったが、
「ここで待ってろ。狙ってみる」
そういって静かに茂みを進んだ。シカは相変わらず動かない。滝田の歩みが止まった。肩にかけていた猟銃に弾を込め構え・・・そして発砲した。
山間に響く銃声・・・同時にシカがその場に崩れた。
「よし!」
滝田は満足そうな声を上げた。滝田と共にシカに駆け寄る。喉付近を打たれたシカは既に事切れていた。私はそのシカを見て何ともいえない気分になった。目の前で命が一つ消えたという事実に申し訳ないというか、友人がいけないことをしたような複雑な心境でした。
「すぐに血抜きして解体するから待ってろ」
慣れた手つきでナイフであれこれやっているが、私は到底直視できたものではないので離れた場所で作業が終わるのを待っていた。どれくらい待っていただろうが、滝田に呼ばれて戻ると土嚢袋が3つ並べて置いてあった。あぁ、あの中には先程のシカが入っているのかとすぐに理解した。
「細かく解体している時間ないから、大雑把に分けた。これもって下山するぞ、1つ持ってくれ」
そういうと一番軽そうな土嚢袋を私に渡してきた。ずしりと重いそれを担いだが、何とも言えない感じ。そう、命の重さを感じたというべきだろうか。
「可哀想だと思うか?」
ふと滝田がそう声をかけてきた。
「いや、何といっていいか」
「俺も最初はそう思ったよ。でもな、野生動物の保護や管理の観点から言えば必要なことは間違いない。偉そうに言ってるけど、俺は社会貢献の一環だと思っている。誰かがやらなきゃいけないことだしな。だからといって俺は野生動物の命を軽んじてはいないし、いけないんだ」
滝田の言葉に半分納得したようなしていないような、葛藤を感じながら私たちは車に戻った。私たちは装備やら土嚢袋やらを車の荷台に乗せ終えた。先に乗ってろという滝田の言葉に私が助手席のドアを開けて乗り込もうとした瞬間のことだった。
やぼなツッコミだけど、ヒグマを射殺できるようなライフルって所持許可が下りるまで10年かかったのでは?
狩猟免許取ってるような人なら散弾銃でヒグマが死ぬわけないって当然知ってるだろうし、最後のシーンも色々矛盾してるような
クマの問題はホント最近とくにひどいですよね。それに、ハンターたちの持つ銃ってほとんどが散弾銃でクマを殺せるライフルを持つのが本当に難しい。そのくせ熊被害が出たら国は猟友会任せ。猟友会は公共事業でやってるわけでもないのに全責任を負わされる。札幌で起きた事件なんて、警察の依頼で発砲したら、後から街中で発砲したのは違反だからって免許取り消しになってる。
だったら熊が出たら警察の狙撃隊か自衛隊でも出せばいいのに、それもしない。今のクマ被害はなんにもしない行政の責任ともいえる。
北海道にはイノシシはいない、というつっこみがありそうですが、wikiによると本州から連れて来たイノブタの養殖のために本州から持ち込まれた数頭の個体が逃げ出し、野生化しているそうです。
あと、1p目で石狩鍋を食べるシーンで「いたせりつくせり」って書いてますが、正しくは「至れり尽くせり」ですね。
上のコメント、書いてるうちに変な風になりました。すいませんw
>やぼなツッコミだけど、ヒグマを射殺できるようなライフルって所持許可が下りるまで10年かかったのでは?
狩猟免許取ってるような人なら散弾銃でヒグマが死ぬわけないって当然知ってるだろうし、最後のシーンも色々矛盾してるような
死ぬわけなくても威嚇のために撃ったと解釈できるけど。難癖つけたいだけのコメントはやめた方がいいですよ
状況が目に浮かび、最後は助かってと祈りながら読みました。
野生動物の前では人は皆平等に無力と言われたら考え深いです。
車に乗って逃げればいいのにw
創作だからしゃーないか
これって怖話の実体験版だから言うほど難癖でもなくてアチコチ間違ってるぞって話やん。
熊害の話はタイムリーですね。今年は特に被害がひどい
kamaです。今日、韓国語の怪談サイトでこちらのお話が取り上げられてましたね。名作の証拠。ところで韓国にもクマっているのかな??
↑いるみたいですよ。
投稿者の方のメッセージならまだしも難癖だとか言ってた人が、海外サイトの話を出してステマをやっちゃ駄目でしょう
12番さん、教えて下さい
5番さんのコメントもkamaさんなんですか?
いろいろな人のコメント欄でkamaさんの書き込みをよく見かけるけど、書く内容の都合によって名前を出したり出さなかったりしてるってことなのかな?
12番さんの言う韓国ステマ?のコメントは他の人のコメント欄でも見ました
kamaさん、これはステルスマーケティングなんですか?
そして、12番さんは何故5番さんをkamaさんだと認識しているのですか?
散弾銃で死なないったって重症でしょ?
その後人殺せる気概が残ってるんや。
クマって凄いな
↑↑kamaです。あんまりこーゆーのにかかわりあいたくないんですけど、
ボクも名前出すときもあるし書かないで勢いでコメントするときもありますが、
ここでボクだと指摘されている難癖つけたとかのコメントは他の人が書いたものでボクではありません。あしからず。韓国語サイトに載ったよって言うのだって、「よかったねー」って話で、なんでそれがステルスマーケティングなのか、ボクにはわかりません。ま、不毛ですから争いやめときましょう。それにしても、最近なんかおかしいですね。奇々怪々さん。
怪しいのでボクは新規投稿ストップさせていただいてます。
たぶんですけど、5番さんがKamaさんじゃありませんよ。
実体験を投稿してくれているのに、難癖付けるのはやめましょうよ。
読み終えてゾッとしてたらコメント欄が人間味溢れてて少しホッとしたわ
>狩猟免許取ってるような人なら散弾銃でヒグマが死ぬわけないって当然知ってるだろうし、最後のシーンも色々矛盾してるような
例えヒグマでも至近距離から顔面や急所に散弾を食らえば相当なダメージは与えられると思うし、ビックリして逃げる可能性だってあるでしょ。散弾銃じゃどうせ死なないし撃ちもせずに素直にやられようってなりますか?普通は撃つでしょうし、何が矛盾なのか全くわかりません。
作者です。
なんかコメント欄が凄いことになっていましたが、たくさんのコメントありがとうございました。
久々の受賞作品なので嬉しいです。
今月もよろしくお願いします。
>>ビックリして逃げる可能性だってあるでしょ。
>>散弾銃じゃどうせ死なないし撃ちもせずに素直にやられようってなりますか?
>>普通は撃つでしょうし、何が矛盾なのか全くわかりません。
ちなみにこれはないので注意。手負い熊をこしらえて大変な問題になるので。
熊は銃や火薬の臭いに警戒して飛び掛かるのを躊躇うので、銃口を向けながら猟師は後方に下がる。
しつこい様だけど創作だから問題ないのであって、これを実話として捉えてるコメント欄の人たちが問題なのが分かってない。作者さんじゃなくて変な擁護してたこういう人が問題なんです。
私が次に滝田に会ったのはそれから10年以上が経ってからだった。夏も終わりを迎えた頃、滝田から〜
11年ぶりに会う滝田は、都内でバリバリ働いていたスタイリッシュな姿は身を潜め〜
コメ欄を元に修正するとこうなるのね。そんなに違和感ないし雑誌とかだと編集の方で直していくのでしょう。
ググったけどライフルは、やっぱり10年以上必要で短縮の可能性はあるけど有害駆除の時だけなので狩猟で使ったら当然アウト。
エピローグで滝田は、銃器の違法使用により被疑者死亡で書類送検されてしまったとかなら辻褄も合うから作者さんには、オチ的な続編も書いてほしいかも?
想像力が豊かな方の変な言いがかりが多いけど、本文のなかでライフルなんて記述は一切ないですよね。
「だから助けられなかったなんていう考えは傲慢でしかない。野生動物の前では人は皆、平等に無力なのだから」
最大のメッセージはこれじゃよ
幽霊よりもこえー