「そうね、明日が本番だと思ってたから武装がないのよ。なにか武器が欲しいわ・・・
トカレフじゃちょっと威力不足ね。ライフルはないの?」
「ガンロッカーにAK47があります」
「突撃銃か・・・精度悪そうよね。あの部屋で下手に撃つとお孫さんに当たりそう」
「ボクのライフルを貸してもいいけど?」ジャージの子、九郎が申し出る。
「ほんと?精度は?信頼できる?」
「ウェザビー・マークⅤ(ファイブ)。300WinMag。これで200メートルの距離から3人やってる。精度は問題ないよ。なんならボクが撃つけど」
「ありがと。まさか殺しをやった凶銃を使う羽目になるとは思わなかったけど、背に腹は代えられない・・・借りるわ」
「じゃ、持ってくるよ」走り去る九郎。
「あと、桐原さん、日本刀ありますよね? 万が一の時に1本あると助かるんだけど・・・
ナマクラじゃなくて、できれば業物があるといいな」
「ほれ、これを使え」そう言って日本刀を差し出してきたのは組長だった。
いつの間にか朽屋の後ろに立っていた。
「小豆長光(あずきながみつ)じゃ。家宝にて、大事に使ってくれよ。・・・孫の命を頼む」
「わかりました。預かります」両手で刀を受け取る朽屋。
「ところで、あの赤い馬やバラの花は、今日突然現れたんですか?」
「えぇ、お察しの通り。つい1時間ほど前に・・・」
「そう・・・じゃあ、もしかすると私のせいかもしれないな・・・」
「え?」
「私が来る、つまり排除されることを予感して、抵抗するための拠点を固めたのかも。
・・・犠牲になった方には本当に申し訳ないけど・・・ごめんなさい」
「顔をあげてください、クッチャさん。お願いしたのは私らだ。どうか、死んでいったやつのカタキを討ってください」組長が朽屋を励ます。
桐原が指示を出す。
「それじゃあ組長、避難お願いします。坂下のオジキの所へ・・・宮下、後藤、田島の班は屋敷を囲め。あとは第二ビルにて武装して待機、オレの班は組長の護衛につく!」
一斉に走る構成員たち。事態は動き出した。
どこかへ電話をかける朽屋。
「・・・あ、もしもし、ニンニン?お久しぶり~今どこにいるの~?」
(あぁ~朽屋さんじゃないですか~お久しぶりです~ニンニン♪なんつってw
今ね、渋谷の宇田川町で飲んでるトコなんですよ~朽屋さんも来ませんか~なんつってw)
「ラッキー!最高よニンニン。あなたってホント冴えてるわ」























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて?
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。
これを初めて読んだんですけど面白かったです!
他のも見てきますw
文体が面白いだけでなく、作者の深い知識に感心させられる。
アクションの表現もいいので一気に読んでしまう。
シリーズの他の作品も急いで読みたいし、今後も追いたいと思った。