「止血の準備してください。その辺のシーツとかタオルとか、用意して」
「ハイ」九郎が走って止血に使えそうなものを戸棚から出してくる。
「じゃ行きますよ。朽屋さん、できるだけ腕の皮を引っ張っていてください。
その方が後で傷口を縫合するのが楽ですから」
「了解。やって頂戴」
忍足は日本刀の切っ先を手首の関節の間を狙って、一気に刺し込んだ。
次に流れるように日本刀を引き、あっという間に手首を切り落とした。
すぐに止血に入る忍足。
九郎は組の息がかかった医者に電話した。
大概のけがや死亡診断はこの医者が闇から闇に流してくれる。
朽屋は枕を部屋の隅にあったソファに置きそこに手首を乗せた。
・・・手首が、生き物のようにゆっくりと動きだしていた。
最後の魔弾を撃ち込む朽屋。
・・・手首は爆散し、悪魔の刻印も消え失せた。あたりには枕の羽毛が散乱した。
「はい、九郎君・・・ライフルありがとね・・・もう悪いことに使っちゃダメよ・・・」
「あっ、もう眠そうになってるじゃないですか、いつものアレですか、なんつって」
「ハイ、ちょっとだけ、5分だけ寝かせて・・・」そう言って、寝ている青年の横に倒れ込んで寝始める朽屋。
「えぇぇーー!?こんなところで寝ちゃうんですか姐さん!!」驚く九郎。
「それじゃ、ボクら撤退するから、後始末よろしくね、九郎君」
「待って・・・ここの3階にボクの部屋があるんです。朽屋さん血まみれでしょ?
綺麗に拭いてあげたいから、連れてってもいいかな?」
「いいかなって、えっ、なに?キミが朽屋さんの身体をナニしてナニするわけ~?ずるいよ」
すると突然ジャージの上を脱ぎ、シャツをはだけて見せる九郎。
「ボクね・・・ホントは女の子なんよ」
「おぅふ!!」思わず鼻血が出そうになる忍足。
「九郎って呼ばれてるのも、本当は九郎丸レンって名前で・・・苗字なんよ」
「あぁ~~そうなの~~。えぇモンありがとうございます。朽屋は好きにしてやってください」
だらりとしている朽屋をむりやり起こして、肩に担ぐ忍足。
「3階まで運んであげるから、キミの部屋案内して」
やがて屋敷に救急車が到着し、屋敷の周囲を守っていた構成員たちもぞくぞくと屋敷内に入っていった。避難していた班にも帰還の指示が出された。
























kamaです。朽屋瑠子シリーズ第11作目は、対バルベリト戦です。
今回は登場人物も多いですが、個性ある人たちが多いので好きになっていただけたらいいなーと思います。尚、ネタバレですが、文中8pでヤクザの事務所が「渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5」となっていますが、これはもちろん架空の住所で、知ってる人は知っていると思うのですが、1992年に公開されたウッチャンナンチャンの主演映画「七人のオタク-カルトセブン-」で、主人公の南原さんが無線オタクをつかまえるための罠として流し続けた謎の暗号「・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・渋谷区ショウトウ3ノ2ノ5・・」というのが元となっております。今回のお話では渋谷区を舞台にしたかったためです。ラストも朽屋がキルビルやってる姿を想像しなから読まれると、楽しさ倍増かと思います。ロマンホラーということで、お楽しみください。
面白かったです。一気に読みました。
今回も面白かったです
このサイトの他の作者の作品も、朽屋瑠子にかかれば全てハッピーエンドになるのに!
↑kamaです。コメントありがとうございます。19ページもあるのに一気読みしていただいてありがとうございます。感謝!!
個人的に朽屋瑠子シリーズをおもしろいと言ってもらえるのが一番うれしいです。自分で読んでて一番おもしろい作品ですからw
今朝も会社に行く前に「どこか間違いはないかな~と読んでたら、途中からおもしろくなってきて止まらなくなり、あやうく遅刻するとこでした。フ~アブナイ~~
瑠子シリーズ今回もドキドキしながらも楽しく読ませて戴きました。九郎ちゃんと瑠子のバディ、今後が楽しみです。
読んでいるうちに目が冴えてしまい寝不足です。
今回のも面白かったですよ。
でも、組長が死ぬなんて?
気になるのは九郎が朽屋の体を拭いてるときに赤ちゃんみたいって笑うとこがあるんですが、えっ、朽屋の体にベビーなところがあるってことですか?!
↑kamaです。コメントありがとうございます。
ドキドキしながらみていただいて、本当に感謝です。
寝不足にして、スイマセン!楽しんでいただければ本望です。
朽屋の裸で赤ちゃんみたいなところ・・・たぶん、肌ですかね?わかりませんが。
・・・組長と桐原が死ぬのは、実は僕も葛藤がありました。なにも殺さなくてもいいんじゃないかと。逆にここでニンニンを死なせてしまおうかなとも思っていました。
でも、ニンニンが死ぬと呼び出した朽屋の責任問題にも発展しそうだし、明るく終われない気がしたのでニンニンは生かしました。組長と桐原さんももったいなかったですが、彼らはやはりヤクザですから、極道には極道の道があります。死んで花実が咲くというか。実際彼らは作品内で人殺しをしたと語っていますから、作品を読んだ人の中には人を殺したやつがなぜ生きながらえているのかと反社に対して嫌悪感を抱く方もいると思います。だからこのような結末が似合いだったのかな、と思います。問題は九郎ですね。彼(彼女)は本編内で5人殺してると言ってます。なのに最後は明るく朽屋と仲間になりそうな雰囲気ですが・・・果たして殺人を犯しているキャラが普通に受け入れられるのか・・・というのは非常に難しい部分もあると思います。ボクの作品の作り方からすると・・・九郎も組長と同じようにどこかで死ぬ運命にあるのか・・・あるいはこの呪縛を説くために、九郎は実は殺しなんかやってなかったという設定を用意するか? 子供時代からの洗脳で心神喪失状態だった?
さてどうなるでしょうか。本文内では自分の死をいとわない行動が目に付く九郎ですから、これから先も死線に最も近いキャラとして登場していくかもしれないですねぇ。・・・先の事は判りませんね。
これを初めて読んだんですけど面白かったです!
他のも見てきますw
文体が面白いだけでなく、作者の深い知識に感心させられる。
アクションの表現もいいので一気に読んでしまう。
シリーズの他の作品も急いで読みたいし、今後も追いたいと思った。