山の中に響いた不思議な声
投稿者:皐月 (31)
だんだん声がはっきり聞こえるようになり、Aちゃんにも聞こえたみたいです。
「こっちだ、こっち」
はっきりと聞こえた声は、高齢の男性のようでした。
私たちは声がする方へただただ歩いていきました。すると、そこには古びた一軒家。私たちの全身から力が抜けました。
「良かったぁ。電話借りよう」
かなり古い家のようで、雑草が生えていて、ところどころに農機具が置かれていました。
でも、不思議なことに真っ暗なんです。
人の気配が全くないので、私たちは不思議に思いました。
「ずいぶん、暗いね」
「おじいさん。平気なのかな」
チャイムを鳴らしても、ドアを叩いても、誰も出てきてはくれなくて、私もAちゃんも再び不安になりました。
すると、いきなり車のヘッドライトが私たちを照らし、50代ぐらいの男性が降りてきました。
「あんたら、何やってんだ?」
男性は、Rという名前で、建築関係の仕事をしているそうです。
私たちが慌てて事情を説明すると、家まで送ってやると言ってくれました。
私たちはホッと安心して、お互いに少しだけ泣きました。
そして、Rさんのワゴン車に乗ろうとした私は、あることを思い出しました。
さっきの声の主であるおじいさん。私たちだけ山を下りるわけには逝かないと思い、そのことを伝えました。Rさんというその男性に言いました。ですが、答は意外なものでした。
「あの家には、もう誰もいないぞ」
聞くと、この家はRさんの実家だそうで、30年前に実家を離れたそうです。それからは、Rさんのお父さんが一人暮らしをしていたのですが、もう10年以上前に亡くなられたそうです。
「でも、確かに声がしたんです。ネオンの方へ行こうとしたら」
「ネオン?」
Rさんの声が変わりました。何か悪いことを言ってしまったのかも思ったら、Rさんが大きな溜め息をつきました。
「あんたら、ラッキーだったな」
何がと思ったら、実は私たちが行こうとした先は崖になっていたそうです。草が生い茂り、初めての人には気がつきにくいらしく、何度もRさんは良かったなと言ってくれました。
私とAちゃんは互いに顔を見合わせて言葉もありませんでした。
「うちの親父。子供好きだったんだよ。俺がガキの頃も、よく迷子の子供を助けたりしてたな」
Rさんは嬉しそうに言いますが、私たちは複雑な気持ちでした。
確かに聞こえた高齢の男性の声。あの声は、Rさんの亡くなったという父親の声だったのかもしれないと思ったら、鳥肌が立ってきました。
あんな風に、はっきりした声で聞こえるのかと思いました。ですが、確かにあの声はあの古びた家の中からしたのです。
スポーツカーに乗った、アフロヘアのマスク姿の変態というのが見事なパンチライン
助けていただいたのに、女性特有の気質というか、
わかりませんが、感謝の気持ちが薄く感じます。
作者も友人も中学生の少女。変質者の話をあらかじめ聞いていたのに、夜間に車に乗って急に現われた男をそのまま信じて乗り込むとは――。
まあ、思春期の少女の精神的未熟さが出ただけかも知れませんが、一歩間違えれば彼女らが犯罪の犠牲者、あるいは「中学生女子失踪事件」の被害者になっていたかも知れず、それがかえって恐ろしい。
非常に目立つ変質者の伏線はともかく、鈴はどうしたんです。鈴。
鈴が気になる。