夜のオフィスの隙間
投稿者:皐月 (31)
短編
2022/08/09
23:14
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私は、以前印刷会社で仕事をしていました。その日は、たまたま忘れ物をしてしまって、夜の8時ぐらいに会社に戻ったんです。中にはまだ同僚が仕事をしていて、私も手伝う事にしました。
「ん?」
気配を感じてドアの方を振り向くと、少しだけ開いてるんです。私は、しっかり閉めたのですが、なぜか開いてるんです。
変だなと思いながらドアを閉めて、また仕事に戻りました。それから数分後。また、変な感じがするんです。まるで、誰かに見られているような。そして、振り向けば、またドアが開いていまし。さっきと同じ、約3センチぐらい。
そして、閉めようとした瞬間。ビシャッとドアが閉まったんです。まるで、誰かが勢いよく閉めたような感じです。ですが、私が部屋に入ってから誰も出入りをしていません。ドアを開けてみましたが、やはり誰もいないのです。
と、背中を向けて仕事をしていた同僚がボソッと呟いたんです。
「今夜も出たな」
私は、その言葉がどうにも気になってその意味を聞きました。すると、残業が多い社員の間である噂が広まっていたそうです。
夜の9時頃になると、なぜかドアが開いていて、先程のようにいきなり閉まる事があると。
「もしかして、あの隙間から覗いているのかもな」
淡々と告げる同僚に、私は背中がゾゾッとしました。
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