びしょ濡れの女性
投稿者:皐月 (31)
短編
2021/12/29
23:41
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その日は、とても天気が良かったんです。私は、友人の家に遊びに行って、少し遅めのバスで帰ることにしたんです。
友人が住んでいるところはかなり田舎で、バス停とはいっても、ボロボロの小屋があるだけなんです。私は、いつものように小屋の中で待とうとして驚きました。中に女性がいたんです。木の椅子に腰かけて、下を向いているようでした。
(あれ?)
私は、変なことに気がついたんです。その女性は、髪や服が濡れていて、足元には小さな水溜まりができているんです。
(雨なんか、降ってないよね?)
あまりにもその女性が濡れているので、私は事情を聞こうか悩んだんです。でも、その女性の様子からするとかなり落ち込んでいるようで、初対面である私が声をかけてもいいものか悩んだんです。
そのうちに、バスがきました。私が乗り込むと、すぐに運転手さんがドアを閉めて発車しようとするんです。
「すみません。あの女の人も乗るんです」
私が教えると、運転手さんがすごく不思議そうな顔をするんです。そして、誰もいないと言うんです。
そんなわけはありません。私は、窓から小屋の中を見ました。そこには、確かに誰もいないんです。ただ、地面には濡れた跡だけがありました。
後日、友人にその話をすると、友人がかなり驚いていました。どうやら、近隣でその噂はあったそうなんです。その濡れた女性の正体はわからないのですが、それからというもの、そのバス停を利用できなくなりました。
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