最後の夫婦写真
投稿者:rark (32)
「では、ハッキリと言いますが、この写真に写っている男性は、
地獄に落ちてしまったのでしょう。そしてこの写真の黒いモヤから見る限り、この女性が男性を連れて行ったのでしょう。それと、友人の会話の中で出てきた、「むけん」というのは昔の言葉で地獄とも読みます。多分そういう意味だと思いますが……それと、その友達の言っていた夢の話、その話が本当なら、おじいさんは友達の変わりに、地獄に連れていかれたということになります。それと、お焚き上げの時に、遺骨を骨壷に入れなかったという話がありましたが、ここでは詳しくは言えませんが、本当にあるんです。その亡くなったおばあさんの愛という呪いの対象を、自分に移したという形になるのでしょうね。」
…………
その話を颯汰に言うことを僕は少しだけ躊躇しましたが、結局は全てを……いや、全てではありませんが、話すことにしたんです。
しかし、おじいさんが地獄に言ったことを颯汰に伝えても
「そうか……」
と、言うだけ。しかし、おじいさんが颯汰の身代わりになったという話は未だ話せずにいます。話し終わった後、二つのことを思い出します。
1つは、むけん、むけんと騒いでいた、陽キャグループの友達との会話。
「いや、颯汰が始めに言っとったよ」
僕「颯汰?」
「そそ。いやぁさ、なんか颯汰がトイレで、
「あんなジジイ、むけんに行けばいいんだ。」
って。でさ、颯汰チャカすつもりで言ってたんだけど、あいつ、何も反応しねーからさ……」
そして、もう1つ。霊能力者との会話。
「少し気になったんですが……」
僕「どうしました?」
「いや、友達の夢の話。本当にそれで終わりですか?続きとかは……」
僕「いや、続きとかは特には……」
「その、呪いを自分に移すという作業の話に戻りますが、そのおじいさんが、その作業をした後、元の対象者である颯汰さんの方の夢に、ある人物が出てきます。」
僕「ある人物?」
「はい。ですがそれは人によって異なるので、私には何も……。しかし、そこでその人物にこう問われるはずです。お前の代わりに、○○がむけんに行くが、それでも良いか。と。そこでどう答えるかで、その儀式の成功か失敗かは決まります。
まぁ、写真を見る限り、儀式自体は成功したのでしょうが。」
僕「どういう……ことですか……?」
「申し上げにくいのですが、颯汰さんが、おじいさんが地獄に行くことを了承したことになります。」
僕「……」
だから僕は言えなかった。おじいさんが颯汰の身代わりになったなんて。
自分が不幸になることを望むほど、嫌われようが自分の孫、息子を守る。
高校生の僕には分からないものです。親というものは。
面白かった。でも、なぜおばあさんはソウタ君を道連れにしようとしたのか、、、?
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「なぜおばあさんはソウタ君を道連れにしようとしたのか、、、?」
それは話しの中では【愛という呪い】として書かれてますよ。憎しみでも恨みでもなく只単に愛おしいから連れていきたいってことなんじゃないですかね。