実録!恐怖のキャンプ!村井さん危機一髪の巻
投稿者:とくのしん (65)
「ありがとうございます」
女は村井を見上げながらお礼を言った。
「お、降りていいよな?」
「はい、大丈夫です」
「刺したりしないよな?」
「私一人じゃそこまで上がれないから刺したりしませんよ(笑)」
一問一答しながら、とりあえず女の言葉を信じつつ、村井は警戒を怠ることなく地面に下りた。
「それじゃ私をあの枝まで届くところまで持ち上げてくれませんか?」
もうここまでくればヤケクソだ。このクソ女が死のうが生きようが関係ない、女に対する怒りからこいつの最後を見届けてやろうとすら思い始めていた。村井は木の幹に手をついてしゃがみ込み、女を自分の肩に立たせた。ゆっくりと立ち上がり女を枝に掴まらせた。
「よいしょ・・・よいしょ・・・」
枯れ木のような女は、モゾモゾと木の枝に掴まり登っていく。両肩に感じる女の体重が徐々に軽くなっていく。早く登りやがれと心の中で叫び続けていた。
「なかなか高いですねここ」
登り切った女は満足そうに村井を見下ろしていた。
「それじゃ最後まで見ていてくださいね」
女は包丁を投げ捨てると、ロープを自分に手繰り寄せ、そして首にロープの輪をかけた。
そして再びニンマリと満面の笑みを見せた。
「あばよ!」
その瞬間、村井そう一言発し踵を返して猛ダッシュでその場を離れた。
「おい、最後まで見届けるんじゃなかったのかよ(笑)」
「冗談じゃない。誰があんなキモい女の自殺の瞬間なんて見るかよ」
先程まで頬を赤らめていた村井の顔は青く引きつった表情を浮かべながら、吐き捨てるようにそう言い放った。
「確かにな、理不尽に振り回されて一度はあの女の死に様見てやろうと思ったさ。でもな、今から死にますって人間が・・・あんな嬉しそうに・・・恍惚とした表情見せて死ねるのか・・・?あの表情見たらよ・・・今でも思い出すと鳥肌が立つ・・・」
女が首にロープをかけたときのあの笑顔が今でも脳裏にこびりついているという。
「あ、こら。待て。待ちなさい。」
生気の無い声が聞こえたものの振り向くことなくその場を離れた。かすかに入り込む月明りだけが頼りとあって、何度も倒木に足をかけたり、穴に足をとられたりして転びながらも見覚えのある場所に何とか辿り着いた。
急いでテントに戻ると男連中はいびきをかけながら寝ていた。村井は急ぎ寝ている男連中からたたき起こし、次に女性陣を起こしたあと事の顛末を伝えた。一同は寝ぼけ眼で半信半疑だったものの、村井の鬼気迫る口ぶりからテントやら何やらこのままにして、すぐにこの場から離れて車に戻ることにした。足早にキャンプ場入口に停めてある車に戻り、その日は車中泊で一夜を明かした。
翌日、一同はテントの場所まで戻った。テントを出たときのままの状態で、特に荒らされた形跡はなかった。村井はどうしてもあの女が死んだかどうかが気がかりだった。だが1人で現場に向かう度胸はない。そこで原西という同期が同行することになり現場へ向かった。この原西という男が、肝試しの提案を潰した張本人という。
「なぜそんなヤツがお前についていったんだ?」
「原西って少し変わったヤツでさ。死体があったらどうすんの?とか聞いてきたのに、それはそれで死体があったら見てみたいとか言うんだぜ」
そんな変わり者と二人、村井の記憶を頼りにあの現場に向かった。
kamaです。大好きですこーゆー話。夏にちょうどいいタイトルだし!!好き!
オチがないのがリアル
久しぶりに「スケコマシ」という言葉を見つけました。
>kamaさん
コメントありがとうございます。
話も気に入っていただけたようでうれしいです!
話下手の友人の体験談なので、聞いたときは笑っちゃいましたが、少し脚色して怖さを増し増しにしておきました(笑)
これからもどうぞよろしくお願いします。
タヌと申します。タイトルの軽妙さと本文の薄気味悪さのミスマッチがいいですね、、、楽しく読めました。
とりあえずタイトルには「さん」付けなんですね。
怖い体験しても懲りずにまたナンパする村井本人が一番怖い。投稿者様も同感ですかね?
>タヌさん
感想ありがとうございます。
>とりあえずタイトルには「さん」付けなんですね。
敬意を込めて「さん」付けにしました。
>怖い体験しても懲りずにまたナンパする村井本人が一番怖い。投稿者様も同感ですかね?
村井さんの女性対する執着心は確かに怖いものがありますね(笑)
村井だったり村田だったり、うどんちゃん騒ぎだったり面白かった
うどんちゃん騒ぎ
村井の語りを聞いてるのではなく、過去に聞いた話をかわりに語っている設定なのに唐突に入る村井と語り部の会話
ここら辺が気になって笑いしか出てこなかった
うどんちゃん騒ぎのせいでホラーどこじゃなくなった