こっくりさん見物

「いや、君らはそもそも最初っから別のことしてたでしょ？参加するなら俺だけじゃね？」
と思い至り、私も10円玉の上に人差し指を置いた。

黒魔術チームの見守る中、ここから帰って貰うべきか、それとも質問するべきか。
とりあえず私は質問することにした。

O「こっくりさんこっくりさん、俺のバイト先の店長はどんな人ですか？」

店長の人柄はこの中で一番知っているのは私自身。こっくりさんを試す訳では無いが、単純に「店長って何者なんだろう」という疑問もあった。

こっくりさん「いいひと」

確かにそうだ……このこっくりさん、わかってる…。

O「こっくりさんこっくりさん、ありがとうございました。」

私の質問を終え、果たしてどうなるかは不明だが6人で帰って貰えるようにお願いしてみた。

6人「こっくりさんこっくりさん、どうぞ鳥居へお戻りください。」

こっくりさん「はい」

と初めてここで「はい」「いいえ」の2択を使ったこっくりさん。続けて

「あふらあけたけもらう」

と動いた。
50音オンリーで濁音半濁音は省いているので正確には

「あぶらあげだけもらう」
なのだろう。

「う」の位置から直ぐに鳥居の方に戻って行った。

6人「こっくりさんこっくりさん、ありがとうございました。どうぞお離れください。」

言い終わると直ぐに私以外の5人は指をさっと離した。
私は指を軽く乗せていただけだったのでしばらくそのままだった。

D「お、終わり終わり！とりあえず、紙破いて捨てて、10円玉はすぐ使う！」

使われた紙は複数人でビリビリに破かれた。
後は10円玉。
もちろん誰ももらおうとしない。黒魔術チームも。

O「じゃあ、10円玉は貰ってくわ。飲み物と食べ物代ってことで。」

結局その場はそのままお開き。後日、レシートを5人に突きつけてしっかりお金を徴収した。10円引きで。

その10円だが、帰り道の駅でスクラッチの宝くじを買ってそれを削るのに使った後、130円のジュースを買うのに使った。
油揚げはというと、これに関してはこっくりさんの物なので食べる訳にもいかず、これも私が一旦持って庭の帰ってアリとかに食べさせた。
捨てて良かったのかなぁ……。でも、こっくりさんにあげた油揚げを稲荷系列の神社に持っていっても狂人にしかならないだろう。