病院の奇霊達
投稿者:白と黒の旅人 (33)
過去にある一件によって2日ほどだけ入院した時のお話。2日と言っても入院した日の夜、日付変わった次の日、その次の日にベッドにいて、その翌日に退院したので2日と言っていいのかはわからない。判定的には3.4日扱いなのかどうなのだろう。
それはそれとして、その時何体かの幽霊に遭遇したのでまとめて紹介します。
1人目
トイレ前で号泣する女性
入院当日の夜、トイレに行きたくなったのですが、地味にトイレが遠かったので「さすがに38℃の熱出してしかも頭から出血してるんだから近場で探すか」と夜の病院内を軽く回っていました。
するとほんとに近くに男女兼用のトイレ(ショッピングモールとかにある車椅子の人や赤ちゃん連れた人、男性女性問わずに使えるちょっと広めな個室のトイレをイメージしていただければわかりやすいかと)を見つけて利用した。
入ってすぐに、便座で用を足しているとドアをノックする音が。
看護師さんに見つかっていたのかと思うと「変わってください…変わってください…」という声がドア越しでもわかる程度の声量で聞こえた。
用を足し終わったので交代しようとドアに向かったら嗚咽に続いてホントに「うわぁーん」って感じの女性の泣き声がした。
何事かとドアを開けても誰もおらず、それなりの声量だったはずなのに看護師さんが来ている様子もない。
何があったのかと思いつつも翌日その頃には既に熱も引いておりなんなら気分は快調。生活リズムとかの関係で夜の11時ぐらいにはトイレに行っているのでその日もトイレに行った。昨日よりはちょっと遅め。
昨日と同じトイレに行き、ドアの前にたどり着くと後ろから「パタパタ」と早歩きで歩くスリッパの足音がした。振り向いても誰もいなかったので気のせいかとトイレに入ろうとしたら「すみません、先に使わせてください」と昨日聞いた女性の声がした。
反射的に「あ、先にどうぞ」とドアを開けて中にどうぞって感じの手振りをしたらちっちゃく「ありがとうございます」って返事がした。
その後、結構強くドアを閉められた。
喫茶店で働いている以上、それなりに力がある(ごちうさとかでそれなりの重さの袋に入った豆などを持ち上げているシーンがあるがアレを片手で持てるぐらいには力がある)にも関わらずコケそうになった。
結局その後、いくら相手が見えないからと中に入るのははばかられたので別のトイレを利用した。
幽霊というものは未練がある場所に死後残ると言うが、もしかして、生前間に合わなかったのだろうか。
にしても、間に合わなかったことが未練でこの世に縛られていたとするとなんともいたたまれなくなる。
ちなみに、この病室への帰り道にも1人見た。
2人目
トントロ
私の部屋は複数人の患者さんが入るタイプなのだが、初日は私しか部屋にいなかった。
私の退院前日に転院してくる患者さんが来るとは聞いていた。
さて、またしても初日のことである。先程聞いた女性の号泣に頭を悩ませつつも病室に戻った私は1人で寝るには広すぎる部屋でカーテンも閉めずに寝ていた。
すると、夜中に何か話す声がきこえて目が覚めた。
時刻は1時前。
よく聞いてみるとそれは「トントロ……」と呟いている。
まるで某映画のカオナシが「ア…ア…」と言うように「トントロ…」と言うもんだから思わず「ト…トントロ…?」と聞き返してしまった。
ちなみにこのての幽霊の言葉に返しては行けない。大体憑いてくるからだ。
さて、「トントロ?」と聞き返された見えない声の主は「トントロ…」と肯定するように言った後、そのまま聞こえなくなった。
先程豚トロを炒めて食べていたよ。
トントロを食べたがる(?)とか麦茶の味だけを消すとか一般的な幽霊とは毛色の違う挙動が面白い
夜の病院は怖いですよね。
私は、見えないので良かったです。
トントロ……私はお前が気になるよ…By投稿者
特に深い意味も理由もないであろうトントロに妙なリアルさを感じますね。
実際、人が死ぬ時って怪談になるような
いかにもな大きな未練とか恨みがある場合ばかりじゃなくて(無論そう言うケースもあるでしょうが)
何か取り留めもない日常の由無し事考えてたら気が付いたら死んでました…というケースも多いのかもしれません。
それはそれで幸せな最期かもしれませんが。
今際の際の残留思念みたいなのがちょっと聞こえた、くらいなものでしょうかね。