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ヒトコワ

ねこじろうさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

地獄の水先案内ピエロ
長編 2023/05/08 17:16 25,657view
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ピエロの言葉にサトルは呆気にとられていた。

「さあさあ、どんどん行きましょう!」

再び威勢の良い行進曲が流れだし、サトルの視界にはまた白い文字が浮かぶ。

『西暦2023年4月3日
午後5時31分 
都内某進学校に通う女子高生、亜由美17歳の場合』

続いてピエロのナレーション。

「都内屈指の進学校D学園に通う17歳の女子高生亜由美ちゃんは、クラスの全員から無視されたり、いろいろな嫌がらせを受けてました。
ああ、イジメですねえ、いけませんねえ。ボク、許せな~い!
ある日の放課後、彼女は校舎の屋上に上がりました。

ああ、怖い!恐すぎる!どうするの!?
さあ果たして彼女の運命は?……」

再びサトルの頭部に強力な電流が通ったような、強烈な痛みが走る。

「う、うわあああ!……」

また彼の目の前は真っ白になった。

……

 目覚めたとき、サトルは顔に強くて冷たい風を感じていた。

目の前には街の景色がはるか遠くまで広がっている。

地平線の辺りには霞のかかった小高い山が連なっていた。

―どこだ、ここは?

ビルの屋上か?

またもや彼の意思とは関係なく、顔が下を向く。

視界には紺のハイソックスに革靴の足元が見え隠れし、その遥か向こうには微かにコンクリートの通路、駐輪場の屋根、植え込み、そして広々としたグラウンドが見えている。

―どこかの学校の校舎の屋上か?
おい、何で俺はそんなところに立っているんだ?

自らの状況が分かった彼を、とてつもない恐怖が襲う。 

革靴の足がジリジリと少しづつ、前に動きだしたのだ。

―おい、ちょっと待て!
それ以上いくな!
落ちるじゃないか!

6/8
コメント(4)
  • 嫌な事ばかり続くと、やっぱりへこむ。

    2023/05/12/07:44
  • 怖い

    2023/06/11/14:19
  • 死を体験できる映画館みたい。

    2023/08/14/21:53
  • 使い方によっては自殺防止の教材になりそう

    2023/11/01/11:34

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