誰も知らない転校生
投稿者:へぴょ太 (5)
何とも言えない不思議な気持ちだったが、大人数の前で名乗り出るのが恥ずかしいだけなのだろうと軽く考えていた。
家に帰ってから、入院中の一週間来てくれたのはどんな子だったか母へ尋ねた。
すると母は「たぶん転校生だと思う」と言うのだ。
理由を聞くと、この辺で見たことがないし、イントネーションが違ったという。
そして足にケガをしていたと言うのだ。
クラスに転校生はいなかったし、イントネーションが違う子もいない。
次の日学校でクラスの皆に聞いても、そんな子は知らないというのだ。
やはり転校生などこの一週間の間に来ていないし、クラスに足をケガしている子もいない。
母のいう転校生はクラスの誰も知らないのだ。
こうして男の子が誰なのかも分からないまま、修学旅行の日がやってきた。
修学旅行では有名なお寺と遊園地に日にちを分けて行った。
正直、お寺には興味がなかったが、遊園地は楽しくて、修学旅行にこれて本当によかったと思った。
二泊三日の修学旅行。最後の夜、夏の修学旅行ということもあり、何人かが怖い話をしようと言い始めた。小学六年生にもなれば怪談話が好きな子もでてくる。
誰よりも乗り気だったのは、学年主任をしていたおじいちゃん先生だった。
怖い話も苦手な人もいるということで、怖い話チームと、その他のチームとわかれた。
私は怖い話が好きなので、当然怖い話チームに残った。
先生は霊感が少しあるようで、小さい頃から不思議な体験を沢山してきたそうだ。
玄関のチャイムがなったので行くと誰もいなかったり、誰もいない部屋のものが突然おちてきたり、いろんな体験談を教えてくれた。
そして、中でも一番不思議で怖かった話があると私たちにしてくれた。
今から約四十年前。先生はこの学校の卒業生だったのだ。
その不思議な体験は修学旅行の少し前に始まった。
修学旅行の一か月ほど前、男の子が転校してきた。
彼のおじいさんおばあさんが花屋を営んでおり、その店を両親が継ぐことになり転校してきたそうだ。
彼はとても優しい性格でいつも明るく、運動も得意だったのですぐにクラスの人気者になった。
修学旅行が近くなったころ、一人の女の子が風邪をひいて休んでしまった。
その女の子が転校してきた彼の近所に住んでいたこともあり、先生は実家のお花を一輪買いお見舞いに行くように彼に頼んだのだ。
彼の家と女の子の家までは5分程度。
しかし彼はその5分の道のりで交通事故にあい亡くなってしまったのだ。
大型トラックに跳ねられた彼は数メートルも飛ばされ、体中傷だらけだったそうだ。
当時いろんなことが問題になったことと、みんなのショックが大きく修学旅行は延期になったの。
(ノД`)やさしいこころ
いい話だな
不思議な、できごとだけど嬉しいかな。