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心霊

へぴょ太さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

助手席に浮かび上がる手形
短編 2023/04/06 12:15 991view

私が運転免許を取って初めての車を買ったのはまだ18歳の時でした。ぶつけたりするかもしれないし、まだ給料も低いからと、父に中古車を勧められて購入しました。

中古車のわりにまだ新しく、あまり走っていない車でしたが、定価の半額以下で買えるとのことだったので、すぐにその車に決めました。

仕事がいつもより遅くなり、あたりは真っ暗でした。田舎なので街灯が少なく、住宅街に行くと家の明かりと車のライトしか明かりがありません。

ふと目の端に白っぽいものが映り、気になり見てみると助手席の窓に手形がついているのです。いつのまについてしまったのか、幸い明日は仕事が休みだったので、初めての洗車に行くことにしました。

次の日、父を誘い早速洗車に出かけました。父は車好きなのもあって機械の洗車ではなく、セルフの洗車を私に教えました。

「窓に手形ついてるから奇麗にしたいんだけど、どうすればいいの?」父にそう言って手形を見せようとしましたが、昨日たしかにあったはずの手形が見えません。

明るいから見えずらいのかなと思いながらも、中も外もきれいにしました。

その数日後、また残業で帰る時間が遅くなりました。するとまた助手席の窓ガラスに手形がついているのです。
一気に鳥肌が立ちました。洗車してから誰も車に乗せていないのです。だから手形など付くはずがないのです。

翌日出勤前に窓ガラスを見ても、やはり手形は見当たらないのです。
もしやと思い、車を購入した所に問い合わせてみました。車の購入先は父の知り合いで、小さい頃から知っている人でした。

夜遅い時間になると助手席に手形が現れることを言うと、観念したような申し訳なさそうな感じで話してくれました。

この車は事故車だったそうです。単独事故で車の修理も少し直す程度だったそうです。しかし、事故をおこしたこの車の持ち主は、もともと精神科に通っていて、とても精神が不安定な人だったそうです。

免許とりたてで、初めて起こしてしまった事故でパニックになったようです。その人はドアのロックを車の故障だと思ったのか、助手席からの脱出を試みました。

窓の手形は恐らくその時のもので、事故を発見した人が救急車を呼んだ時には、すでに窓は血の手形だらけだったそうです。夜で人通りが少なく発見が遅れたようです。

救急車で運ばれたその人は、手にケガをしていたものの軽症でだったそうですが、事故でのパニックに加え、気絶するほどの精神的ダメージだったそうです。もともとの精神病もあり、入院中に自ら命を絶ったそうです。

きっとその人も初めての車で嬉しかったに違いありません。

ですが、その人の念が手形として残る車はあまりにも怖いので、他の車へ変えてもらいました。
それから車を買うときは、事故車を避けて買うようになりました。

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