お墓で遊ばない
投稿者:ぴ (414)
短編
2023/03/08
18:44
1,583view
あまりに綺麗で人間離れしているように見えました。
兄はその子を「カエ」だと紹介してくれました。
もしかして兄の妄想の中の人じゃないかと思っていたので、本当にいるんだとすごく驚きました。
しばらく話していたけど、ずっとかカエさんはしゃべらないのです。
それが個人的にはすごく不気味に見えました。
兄はこれからもカエさんと一緒にいるからと私に言って、また家を出ていこうとしました。
このときに私は泣いて引き留めたのです。
兄が遠くに行こうとしているような気がして、私は引き留めました。
そうして引き留めていると、いいタイミングで両親が仕事から帰ってきたのです。
両親もすごく心配していたみたいで、兄が戻っていて号泣していました。
こうして気づいたときにはカエさんはどこにもいなくなっていました。
その後、カエという子供を探したけど、近くにはそんな名前の子供はいなかったらしいです。
大人になった今、家出した数日間のことを聞いても、兄は何をしていたのか覚えていないくらいです。
もしあの日カエさんと出ていこうとする兄を引き留めなかったらもう二度と帰ってこなかったのではないかと思います。
カエがどこの誰だか分からないですが、お墓で遊んでいたことは確かみたいです。
もしかしたらカエさんはとっくの前に死んでいて、あの日兄をあの世に連れていこうとしたのではないかと思っています。
前のページ
2/2
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 7票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。