お墓で遊ばない
投稿者:ぴ (414)
私の兄は怖いもの知らずでした。
子供の頃からみんなの大将みたいな感じで、度胸試しも率先してやるような子供でした。
うちの両親は共働きで、よく家にいませんでした。
それもあってだいたい遊んでくれたのは兄で、私も兄に懐いていました。
その頃はどんなところにもついていったし、一緒にお墓で遊ばされても文句を言わないくらいには兄に懐いていたと思います。
兄はよくお墓で遊んでいました。
兄の中では度胸試し=お墓と思っていたらしく、そこで遊ぶ自分たちが怖いもの知らずと思われたかったみたいです。
それでよく、近所の住む友達を誘ってそこで遊んでいたのですが、どうやらそれを怖がった近所の友達のだれかが親にちくったらしく、私たちの両親にも伝わってしまいました。
それで両親から強く怒られたのです。
お墓は遊ぶところじゃないから、お墓で遊ばないで!と両親からたっぷり叱られました。
それから私は親の言うことを聞いてお墓で遊ばなくなりました。
ですが兄はそれが逆効果だったらしく、親に反抗することが増えていき、いつしか親の当てつけのようにお墓に一人で遊びに行くようになりました。
その頃からおかしいことが度々増えたのです。
兄が一人でお墓に遊びに行くと、いつもいい香りがして、なんの匂いだろうと思って聞いてみたら、兄は「カエの匂いかも」と言っていました。
「カエ」というのは兄がお墓で知り合った友達なんだそうです。
親には秘密にしてほしいといわれ、私は秘密を守りました。
そのカエの話が多くなっていきました。
カエさんはすごく美人で、白い着物を着ていると言っていました。
年は兄と同い年で髪の毛は真っ黒ですごく綺麗らしいです。
「どこの子?」と聞くと、どうやら近くに住んでいる人みたいでした。
今度私に紹介すると言って、兄は完全にカエの虜のようになっていました。
だんだんと兄の言動が変になってきている気がして、私はつい親にぽろっとカエさんの話をしてしまったのです。
両親はすごく怒っていて、すぐに兄を叱りました。
それをきっかけに兄は家出することになったのです。
ただ兄が家出したのはこれまでに1回や2回じゃなかったので、警察に相談してもあまりきちんと取り合ってくれませんでした。
またいつものだと思われたみたいでした。
兄がいなくなって3日目の夜だったと思います。
両親が働いている間に、兄が私を訪ねてきました。
やっと帰ってきたと私がほっとしていたら、兄の後ろに知らない女の子が立っていました。
本当に透けるような真っ白な顔に、真っ黒な髪の毛の綺麗な子でした。
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