これは私がまだ実家に住んでいた頃の話です。
私の家は、父方の祖母、父、母、兄、姉の6人で住んでいました。祖母と父と姉と私は俗にいう霊感みたいなものがあり、ある場所に行ったりすると、4人でこの場所は嫌な気配がするなどとよく話していました。
そんな我が家では不思議な事象が起こることがありました。不思議な事象が起こるタイミングは決まってお盆の初日と最終日です。
その不思議な事象とは、お盆の初日に網戸が開く音がし、最終日に閉まる音が聞こえるというものです。その音に関しては家族の中でも霊感を持っている4人にしか聞こえません。私が今聞こえたと思うと、姉なども今聞こえたよね?と確認してくるのです。
祖母がお爺ちゃんが帰ってきたみたいやねと呟いているのが今でも印象に残っています。
私の祖父は私が生まれる前に亡くなったと聞いています。実際に会ったこともありませんし、写真で顔を見たことがあるだけです。
そのような体験をするお盆の中でも、その年のお盆はとても記憶に残っています。その年もお盆の初日に網戸を開ける音が聞こえました。
そして、お盆の中日のことでした。私は夜眠っているときにある夢を見ていました。会ったこともない祖父と他の家族がとても楽しそうに食卓を囲み談笑しています。
祖父は私にも話しかけてきて、祖母や息子である私の父との思い出を楽しそうに語ってくれました。しかし、突然楽しそうに話していた祖父が立ち上がり、笑顔で祖母を連れて出て行きました。そこで夢が覚めました。
翌朝家族にその話をすると、不思議なことに父と姉も同じような夢を見ており、いずれも夢に祖父が出てきたとのことでした。父は久々に父親に会えた気がすると喜んでいました。
しかし、祖母はそのような夢を見ておらず、薄情な人ねぇと言っていました。
その年のお盆の最終日、いつも聞こえていたはずの網戸を閉める音は聞こえませんでした。
そしてその年の暮れのことです。祖母が突然体調を崩し、入院することになったのです。病状も重くないとのことでしばらく検査のために入院するとのことでした。それから1週間後祖母は亡くなりました。
お葬式前に私が実家で準備をしていると、聞こえたのです。あの網戸を閉める音が。私にはわかりました、なぜ今年はお盆に網戸を閉める音が聞こえなかったのか、祖父は祖母の夢の中には現れなかったのか、祖父が夢の中で笑顔で祖母を連れ出して行ったのか。
祖父の、祖母を思う気持ちにとても胸が熱くなりました。
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