四人目のお客様
投稿者:神助 (16)
しかし怖がりな僕は、何も外部音が聞こえないシーンとした状態が嫌いなので、店内放送だけは切らずにいた。
すると、『ズズズッ…ズッ……ゴッ、』と耳に触るような雑音がカウンターの真上のスピーカーから聞こえてきたのだ!
有線の受信状態が悪いのか?と思ったが、すぐにそうではないと気が付いた。
何故なら、その雑音が聞こえてくるのはこのスピーカーのみで店内に他にいくつかあるスピーカーからは一切その音が出ていないからだ。
先日の件もあって、僕の心は一瞬にして恐怖に飲み込まれていった。
どうしたらいいのか良い策は思いつかなかったが、とりあえず本能的にカウンターから離れた。「ふう……」ひとまず息を付く。すると……『ズズッ…ズ…ズッ』なんと今度は移動した先の真上のスピーカーから例の雑音が聞こえてき!!
恐ろしさのあまり更に移動する!しかしその雑音は僕の行く先々にことごとくついて来た!ついに僕は店内から逃げ出した。
と、言うのが藤田さんの昨夜の体験だったそうだ。私は藤田さんに話かけた。
「大丈夫ですよ!憑いてませんから!」藤田さんはまた顔に苦笑いを浮かべていた。
オーダー品が完成したら安心してもう出てきませんから。
私が思うに、あれはあの家族のおばあさんではないかと。お母さんとよく似ていました。きっと孫の事が気になって一緒に買いに来たのだろう。
あれから何日も経って、無事にオーダー品は家族の元に渡った。
それ以来藤田さんが霊を視る事はなかった……私の知る限りでは…ね。
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